志望度の高い会社に応募し、書類選考を通過した瞬間、喜びとともに以下のような感情が生まれます。
- 絶対に面接で失敗したくない!
- 何としても内定をゲットしたい!
この想いが強すぎるあまり、「綺麗(スムーズ)な受け応え」を目的に面接準備をしてしまう人がいます。
綺麗な受け応え
書籍やネット上の模範解答を一部変更しただけの「優等生回答」をいくつも準備し、綺麗に面接が終わる(質問に対して詰まらない、即座に回答するなど)ことに終始する!
結果、以下のような優等生回答(志望動機)が出来上がるのです。
当社を志望した理由を教えて下さい!
私はこれまで〇〇の仕事を通じて、お客様に喜ばれる醍醐味を感じてきました。御社のサービスもよく利用させていただいています。海外展開も進められていることに成長性の高さを感じ、ぜひ御社の一員として自分自身の可能性を追求し、キャリアアップを実現していきたいと考えております。
如何でしょうか?
綺麗な回答で、優等生的な感じがしますよね。実際、回答そのものは理にかなっていて、分かり易い内容でもあります。
しかし、いくつかの課題が隠れており、100%ダメ出し(突っ込み)を受けることになります!
まだ突っ込んで質問してくれるだけましで、企業によっては突っ込みもなく不採用確定です。
一見、優等生的で問題なさそうな回答ですが、何が問題なんでしょうか?
この疑問に迫っていきましょう。
課題1.抽象的表現の多用
前述の例文で言うと、以下の箇所が抽象的表現に該当します。
- お客様に喜ばれる醍醐味
- 可能性を追求し
- キャリアアップを実現
要は、抽象度が高すぎて、具体的どんなことを指して言っているのか、聞く側からすると非常にイメージしにくいものであるということです。
ゆえに、この優等生回答では、以下のような突っ込みを受けます。
- 〇〇の仕事を通じたお客様に喜ばれる醍醐味とは、具体的にどういった体験ですか?
- 自分自身の可能性を追求するとは、具体的に何を追求することを言っているのですか?
- あなたは具体的にどんなキャリアプランを描いているのですか?
もちろん、この種の突っ込みに対して具体的にビシッと回答できれば問題ありません。敢えて抽象的な表現を使い、相手からの質問を誘導する手法もあります。
しかし、スムーズに回答することを目的に面接準備している人は、答えに窮する人が大半でしょう。
抽象的な表現を使ってはいけないということではなく、程度の問題です!
面接での言葉を、綺麗・丁寧にまとめようとすればするほど、この「抽象表現の罠」にはまってしまうので注意して下さい。
課題2.自分オンリー
例文でお伝えすると、以下の箇所が該当します。
海外展開も進められていることに成長性の高さを感じ ~ キャリアアップを実現していきたい。
会社の表層的な強みをもとに、その強みから享受できる「メリット」を強調してしまうパターンですね。
一見、その企業の強みに対する賛辞的な表現であり、本音に近いとも思えますが、聞く側からすると、「本人が享受できるメリットにしか目がいっていない」といった印象を持ちます。
転職では、ギブアンドテイクの「ギブ」が重要視されるので、「テイク」を求めるだけの回答では勝てません。
ギブ
「私はこんな経験を持っているので、御社に入社したらこれだけの利益をもたらせます」といった採用メリットのこと。
新卒採用時ならまだ許容されますが、中途採用の現場では通用しません。
課題3.一般的・汎用的
一般的・汎用的な表現とは、以下のような回答を指します。
一般的
企業HPをさらっと見れば、誰にでも言えるような簡単な内容。
汎用的
どの会社でも使い回しができる内容。例文で言うと、海外展開云々の箇所で、海外展開している会社ならどこでも使える。
求人1枠に対して、約30人のライバルがいると言われるのが転職市場です。
あなたにしか語れない「他者と差別化できるメッセージ」になっていなければ、採用担当者の心に残ることはありません。
面接の質疑応答において、採用側はあなたの「考え方」や「人となり」を知りたいのです!
だからこそ、あなたに対して質問を投げかけているのであって、没個性の優等生的な模範解答が聞きたいわけではありません。
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