転職の面接では「当社では何をしてみたいですか?」「当社に入社したら何をやりたいですか?」という質問で求職者の希望が探られます。
この質問は勘違いされやすく、根拠のない自身の勝手な願望だけの「やりたい」を伝えてしまう人がいますが、転職の面接において「マーケティングがやりたい」「商品企画がやりたい」といった新卒レベルの回答は求められていません。
企業は根拠のない単なる願望を聞きたいわけではありません!
質問意図は別のところにあります。
- 応募者の希望と募集職種の職務内容との間にズレがないか
- 応募者の「やりたいこと」と「現実、現状」にズレや勘違い、妄想がないか
- 応募者のやりたいことが当社で実現可能か
- やりたいとができる根拠を持っているか
企業の質問意図はここにあるので、「応募企業の募集職種を深く研究し、それが”自分の経験・実績・スキル、やりたいこと”とどのようにマッチするのか」を関連付けた回答が求められます。
ここでは、面接の質問「何がしたいか?」に対する適切な答えが導けるよう、回答を考える上でのポイントを回答例を含めてお伝えしていきます。
あなたの評価が高まる「優良回答」を準備するための参考にしていただければ幸いです。
ポイント1:応募先企業への貢献を軸に考える
中途採用では「即戦力性」が重視されるので、募集職種で自分の能力やスキルがどう活用できるか、自分の経験のどんな点が活かせるかを軸に答えをまとめるのがベターです。
また、自分の仕事のやり方、心掛け、ポリシーが、応募先の業務で発揮できることはプラス評価です。難しいかもしれませんが、一般的な職種ではなく、応募先の業務に結び付けることができるとポイントアップです。
例えば営業職なら、「自分の実績や営業スタイルが、どのように応募先の主力商品や顧客層とマッチしているか」などを伝えることができれば好印象を与えられます。
また、企画・開発職であれば、実際に企画案を持参して「こんなアイデアで商品を作りたい」「こんな企画を実現したい」という提案をするのもアリです。
ポイント2:入社後のイメージを軸に考える
配属先が複数あるようなときは、本人が希望するセクション、また活躍できそうなセクションはどこにあるのかを確認する意図もあります。
例えば募集要項に「営業職」などと職種でしか書かれていない場合、応募者の希望や適性は新規顧客の開拓なのか、法人相手のルート営業なのか、などの判断材料にするわけです。
そうした場合は、以下のポイントから回答を導きます。
- 特にどんな分野、部門で働きたいか
- 過去の経験、スキルを応募先で活かせるか
- どんな形の貢献ができると思うか
いずれにしても、面接官に「入社後の活躍しているイメージ」を与えることが大切です。それには、まず自分が「応募先で活躍している具体的なイメージ」を持つことが必要です。
当社では何をしてみたいですか?
<OK>
【求職者】
「前職では設備機器のメンテナンス対応が主な仕事でしたが、今後はオーナー様に対して修繕計画を提案するなどの技術営業としてキャリアを築いていきたいと考えています。」
【面接官】
「弊社にもその部署はありますが、営業経験はおありですか?」
【求職者】
「営業経験はありませが、巡回メンテナンスの現場ではお客様からご相談を受けることがよくあります。親切で分かりやすい対応だと評価されており、営業職への転職を決意した次第です。」
【面接官の感想】
メンテナンスができるなら、技術的な知識は問題なさそうだ。顧客対応にも問題はなさそうだし、戦力になり得る要素は持っている。
<NG>
【求職者】
「やはり前職での経験を活かして、B to Cの分野で活躍したいと考えています。定評のある御社の製品なら、幅広いユーザーにご提供できるものと思います。」
【面接官】
「弊社はB to Bが中心ですが?」
【求職者】
「御社の主力商品が企業向けであることは存じております。ですが、B to Cへの業務展開も行っているとホームページで拝見しました。そこで私の経験がお役に立てると思います。」
【面接官の感想】
今回募集しているのは法人営業...今すぐ求めている人物像にはマッチしないかな。
当社に入社したら何をやりたいですか?
<OK>
エリアマネージャーとして店舗を管理したいと考えています。前職でも店舗勤務経験がありますが、まずは御社の技術やサービスを習得し、店舗で実績を積み上げることが何よりも大切だと思います。
その後、店舗の問題点を抽出して改善していけるエリアマネージャーになり、チェーン展開している御社のスケールメリットを活かし、利益に貢献していきたいと考えております。
<NG>
エリアマネージャーとして店舗を管理したいと考えています。前職においては先輩社員が多く、残念ながらチャンスがありませんでした。店舗で接客や調理に追われるのではなく、考えを形にしていく仕事がしたいです。
いずれは現場ではなく商品企画にも携わってみたいです。急速に店舗を展開している御社ならチャンスがあると考え志望しました。
OK例は、やりたいことを実現するために、具体的に自らやるべきことを語り、最終的にエリアマネージャーとなって貢献することを語っています。自身の「やりたいこと」と「現実、現状」にズレがなく、すんなりと受け入れられる内容です。
NG例は、「前職ではチャンスがなかった」と語っているわけですが、根拠がないので「職務能力を満たしていない」と判断される可能性が高いです。また、今回の募集職種ではない「商品企画をやりたい」などの的外れな主張は一発不採用です。
転職面接「何がしたいか?」に対する未経験者の答え方
未経験職種への応募や若年層の転職では、これまでのキャリアやスキルをアピールする回答が難しいことがあります。かと言って「どんな仕事でもやります」「やる気だけは誰にも負けません」といった、実力不足を意欲だけでカバーする答えも説得力がありません。
未経験であっても、過去の経験と募集職種のマッチングは必要不可欠です!
ここは、これまでの経験の中で応募先の職務と共通する点をクローズアップして回答します。また、募集職種で必要な知識やスキルを現在習得中であることや、入社後にどう身に付けるかといった具体的なプランを回答に含めるのも悪くありません。
「新商品の企画に携わりたいと考えております。前職の広告営業では、商品をどうやってユーザーにアピールするかがポイントでしたので、それとは表裏一体の関係にあると思います。」
【面接官】
「といいますと?具体的に教えていただけますか?」
【求職者】
「はい、どちらもマーケティングが大切だという点です。私は”売るための方策”を立てることより、”消費者が求める商品を作る”ということにやりがいを感じ、商品企画への転職を決意しました。
【面接官の感想】
確かに企画、マーケティング、広告営業は関連している。企画は未経験だがキャリアは活かせそうだ。