企業が面接で「会社選びの基準」を問うのは、「本当に自社に入社したいのか」を探るためです。
特にアパレル、ブライダル、アミューズメント関連など、「憧れ」を抱いて応募してくるケースが多い業界では、興味本位ではなく、しっかりとした基準があっての応募かどうかを確認するために尋ねられることがあります。
会社選びには、給料、福利厚生、勤務地などの各種条件も大きなウエートを占めます。しかし、例えば志望動機では「やりがい」と答えていたのに、会社選びの基準では「給料の良さ」「安定性」などと答えては、志望動機が疑われてしまいます。
そのため、「会社選びの基準」と「志望動機」は連動させて回答する必要があります。
また、この質問が面接の中盤以降で問われた時は要注意。何故なら、これまでの質疑応答の内容から「この応募者は自社に何を期待しているのか?」「自社の仕事を理解した上で応募しているのか?」と疑念を持たれている可能性があるからです。
例えば、志望動機が薄かったり、いまいち何がしたいのかよく分からない、といったケースですね。これまでに何度が転職経験があり、その都度、業界・職種を変更している人なんかも該当します。
ストーリーを持たせることで疑念は回避できる!
この質問の回答としては、転職理由・志望動機・会社選びの基準が連動しあって、あなたをアピールするストーリーになっていることが理想です。
- 転職理由「実績の割に報酬が低い」
- 志望動機「歩合制の営業で実績に見合った報酬を得ることができる」
- 企業選びの基準「実績を正当に評価してくれる会社」
この例だと、「これまで実績を上げてきたやり手の営業マンが、活躍の場を求めてわが社にやってきた」というストーリーが出来上がります。
ここまでのストーリー作りが無理でも、前述した「志望動機との連動」は絶対に意識して回答を準備しておきましょう。
今回の転職では何を基準に会社を選んでいますか?
<NG>
【求職者】
「営業経験がないので、未経験者歓迎を掲げている企業を中心に選んでいます。その中で特に社会保険に加入できる会社をピックアップしています。」
【面接官】
「なぜ未経験の営業職を選んだんですか?」
【求職者】
「経験のある販売職の求人にも応募していますが、商品の価値を様々な消費者にアピールできる営業職により魅力を感じ、自分の活躍できる領域を広げたいと考えたためです。」
【面接官の感想】
未経験歓迎とはいっても、未経験なりのアピールが欲しい。明確な基準も持っていなさそうだし、待遇面重視で手当たり次第に応募しているのだろう...。
<OK-1>
【求職者】
「前職での経験を活かすことを第一に考え、御社と同じ物流部門の企業をピックアップしています。」
【面接官】
「その中で弊社を選んでいただいた理由はありますか?」
【求職者】
「はい、私はかねてより御社のイノベーション精神には感服しておりました。パソコンの修繕部門を立ち上げるなど、まさに物流を超えたチャレンジに、私も携わりたいと考えております。」
【面接官の感想】
前職の経験を踏まえての転職なら、企業選びの基準ははっきりしている。この候補者なら即戦力としても期待できそうだ。
<OK-2>
【求職者】
「社会貢献度を基準に選択しています。御社の掲げる企業理念”地域との共生”を実現していくために志望しました。」
【面接官】
「もう少し具体的にお話しいただけますか?」
【求職者】
「はい、地元の生産者と消費者を結び付けることは、効率優先のグローバル主義に対抗する有効な手段だとする考えに共感しました。弱者切り捨ての格差社会を批判できる体制のもとで、社会に貢献していきたいと考えております。」
【面接官の感想】
わが社のポリシーをよく理解して共感しているようだ。あとは、どういった活躍ができそうか探ってみよう。
この質問は、「不採用者を炙り出す」という要素が強い質問なので、複雑に考えることなく、企業に疑念を抱かれない答えを提示すればOKです。何とか評価を高めてやろうと、特殊な答えを提示するのは危険です。
最も無難なのは「OK-1」のように前職の経験を軸に回答を組み立てることです。この選択ができる企業への応募の場合は、無難を選択することが賢明です。