アニメーターになるには? 道のり、仕事内容、専門学校の必要性まで
アニメは娯楽の一つとして非常に人気が高く、昨今は日本のアニメが海外からも賞賛されています。こんな影響も相まって、「アニメーターとして業界で働きたい!」といった想いを持つ人が増えています。
アニメーターが職業として成り立っている以上、これを目指すことは間違っていません。しかし、「アニメが好き」「絵を描くのが得意」といった理由で安易に志望すると、後に後悔することも…
ここは、アニメーターが何たるかをしっかりと理解し、その上で「アニメーターを仕事にする覚悟があるのか?」を自分自身に問うて欲しいと思います。
- アニメーターとは?
- アニメーターになるには?(大学や専門学校の必要性について)
- アニメーターの仕事内容
- アニメーターの収入と未来
4つの観点からアニメーターの実態に迫っていきます。
1.アニメーターとは?
アニメーション動画の元となる膨大な数の静止画を描く絵描き人!
アニメの基本原理はパラパラ漫画なので、アニメーターはその絵を1枚1枚描いていくのが仕事です。アニメーターは大きく「原画マン」と「動画マン」に分かれ、双方とも、タイトなスケジュールの中、気の遠くなるような枚数の絵を描かなければなりません。
それでいて給料は安く、仕事として厳しい面が多いのも確かです。しかし、1枚1枚コツコツと描いた絵が最終的に動きのあるアニメーションになった時の喜びは、ひとしおのものがあります。
アニメーターになるのに資格などはなく、アニメ制作会社に入社すればなることができます。
2.アニメーターになるには?(大学や専門学校の必要性について)
アニメーターになるまでの基本的な道のりをご紹介します。
- デッサン力を身に付ける
- アニメ制作会社の採用試験を受ける
- 入社してアニメーターとして働き始める
書籍やネットの情報を参考に、好きなアニメの絵を真似て描くなどして「デッサン力」を高めていきます。ある程度のデッサン力が付いてきたら、自分が描きたいキャラクターを描いていき、それをポートフォリオ(作品集)としてまとめます。
アニメ制作会社に連絡して就職したい旨を伝え、面接してもらいます。面接時には、履歴書とポートフォリオを見せ、売り込みを行って採用を目指します。
入社後は数日間でアニメーターの実務を叩き込まれ、毎日長時間、絵を描く日々が始まります。
アニメーターとなるのに、学歴(高卒・大卒・専門卒)は関係なく、個人の「デッサン力」がモノを言います。
基礎力を付けるために「アニメの専門学校」などに通う必要もありません。何かの資格が取れるわけでもなければ、学校が就職の世話をしてくれるわけでもないからです。もちろん、「専門学校に通ってはいけない」ということではないですが、「学校に行った = アニメーターになれる」は成り立たないので、過度な期待は禁物です。
アニメ制作会社が採用するのは、「デッサン力が高く戦力になる人材」です。簡単に言えば「実力主義」で、デッサン力の高低がアニメーターになれるかどうかの明暗を握ります。
3.アニメーターの仕事内容
アニメーターの基本的な仕事の流れをご紹介します。
- 原画作成
- タイムシート作成
- 清書
- 動画作成
- 動画チェック
- 色指定
- 画像スキャン
- 彩色
- 撮影
- 編集
絵コンテの指示を元に「原画マン」が原画(動きの基本となる要所の絵)を描く。(ベテランのイラストレーターが担当)
原画マンが「タイムシート」と呼ばれる指示表を作成。タイムシートには、原画と原画の間に入れる絵の枚数、特定のポーズを何コマにするかといった指示が書かれている。
原画を受け取った「動画マン」が原画のラフな部分を動画用に清書する。
タイムシートの指示通りに、原画と原画の間にいれる絵を描いていき、動画を作成していく。
ベテランのアニメーターによるチェック。OKが出るまで何度も描き直す。
色の指定が行われる。
動画用紙に描かれた絵をスキャナーで読み取り、デジタルデータに変換する。
デジタルデータとなった画像にパソコン上で色を入れていく。
撮影ソフトを使用して1本のアニメーションに仕上げていく。
アニメーションに音声や効果音を合成し、アニメを完成させる。
アニメが出来上がるまでの流れとなっていますが、新人アニメーターは「3」「4」が主な業務となり、原画と原画の間に挿入する膨大な枚数の絵を描いていきます。
その後は、次第に業務の幅を広げていき、「動画マン」から「原画マン」に昇進することで、給料も飛躍的にアップしていきます。
4.アニメーターの収入と未来
アニメーターの収入は、過酷な勤務事情とは裏腹に、とてつもなく低いのが実態です。
新人アニメーターの場合だと、平均月収は10万円前後が相場。実際、この隔離に耐えられずに業界を去っていく人が多く、離職率は非常に高いです。(新人アニメーターの約6割が1年以内に辞めていく)
この実態から、アニメーターの未来は以下のように分岐します。
- レベルアップコース
- リタイアコース
厳しい仕事や薄給に耐え、才能を開花させて「動画マン ⇒ 原画マン ⇒ 作画監督」としてレベルアップしていくコース。もちろん、昇給に伴って給料もアップしていき、原画マンとなることで生活を安定させるだけの収入を得ることができる。
過酷な長時間労働や低賃金に耐えられれず、アニメ業界から去っていく。(実際、ブラックな就労環境に耐えられず、辞めていく人が後を絶たない)
アニメーターの仕事は決して楽ではなく、その上に「低賃金」という、2重の苦しみがあります。その為、「アニメが好き」という動機でだけでやっていけるような甘い仕事ではありません。
アニメーターを仕事にするのであれば、それ相応の覚悟で臨むことが必要です。