アニメーターの給料問題について考えていきましょう。
アニメーターの給料を考える上で、アニメーターは「原画マン」と「動画マン」に分かれていることを前提知識として持っておく必要があります。
原画マン
アニメの設計図である絵コンテを元に、要所の原画を描く人
動画マン
原画マンが描いた原画を清書し、原画と原画の間に挿入する膨大な数の絵を描く人
一般的に、給料が安く、激務と言われるのは「動画マン」を指します。
動画マンは、非常にタイトなスケジュールの中で、気の遠くなるような枚数の絵を描く必要があるのですが、驚くほど給料が安い!
この理由に迫っていきましょう。
アニメーター(動画マン)の給料が安い理由!
アニメーターの低賃金労働が改まらない最大の理由は供給過多にあります!
普通、ビジネスと給料には以下の関係が成り立ちます。
- 一般的に低賃金かつ激務の業界(仕事)からは人が去っていく
- 人材が枯渇するとビジネスが成り立たないので、会社側は給料を上げる
しかし、アニメ制作業界にはこうした動きが全く見られません。
その理由は、アニメ業界への就職希望者があまりにも多いからです。
毎年、約1万人もの新人がアニメ業界への門を叩くと言われている!
実際、低賃金・長時間労働・無休に耐えられず、本当に多くの人がアニメ業界を去っていきます。
新人アニメーターの約6割が1年以内に業界を去っていく!
しかし、毎年それ以上の新人が入ってくるので、人材の雇用に困ることがないのです。
要は、需要と供給のバランスが合っておらず、供給過多、つまり雇う側に超有利な状況(給料を上げる必要がなく、離職率が高くても困らない)なんですね。
悪い言い方をすると、動画マンとしての新人アニメーターはいくらでも代えが利くということです。
これが、アニメーターの給料が安い大きな理由です。
もう一つの視点!
DVDや関連グッズの販売が伴わないと収益化できない、スポンサーの確保が難しいなど、アニメ制作のビジネスとしての原因(収益化するのが大変)もあるかと思います。
アニメ制作がボロ儲けできるビジネスであれば、間違いなく従業員の給料が上がるでしょうからね。
アニメーターの給料を上げる方法!
アニメーターのうち「動画マン」は主に新人アニメーターが担当しますが、アニメ制作会社と「個人事業主」として契約するのが一般的です。
つまり、雇用形態から一般的な会社とは異なり、給料計算も以下のような感じです。
- 給料は完全出来高制
- 描く絵1枚あたりの単価は200円が相場
- 1ヶ月で500枚描いても、月収10万円にしかならない
で、完全出来高制なので「残業」や「休日手当」なんて概念も当然ありません。だから、どれだけ長時間働こうが、無休で働こうが、収入UPは見込めません。
ここに、新人アニメーターの平均月収が10万円と言われる所以があります。
スーパー超絶ブラック!
これがアニメータを仕事して捉えた時の適切な表現かと思います。
ゆえに、この「過酷な労働条件」と「低賃金」に嫌気をさして大多数の人が辞めていきます。
しかし、ここを乗り切った先に給料アップが待っています!
実力が認められ「動画マン ⇒ 原画マン」の出世を果たした場合ですね。
原画マンの相場
- 1カットあたり3000円~5000円が相場
- 月100カット描けば、30万円~50万円の収入を得ることが可能
ここまで来て初めて生活が安定するので、可能な限り早く「原画マン」になることが、この業界で生き残っていくための近道です。
更に出世して「作画監督」にでもなれば、給料アップはもちろんのこと、自分の作りたいアニメを作ることも可能!
低賃金の動画マン時代を耐え忍び、出世を意識して猛烈に仕事をこなし、実力を認めさせる!
これが、アニメーターの仕事で給料を上げていく唯一の方法です。
アニメーターの給料と人生について!
夢や憧れは一旦横に置いて、アニメーターを「仕事」として考えると、底辺に位置するのが実際かと思います。
- 超激務
- 長時間労働
- 超薄給
- 休日無し
これが事実だからこそ、この業界から去っていく人が多いんですね。
ゆえに、以下のような要望を持っている人は、アニメーターを仕事にするのは再考すべきかもしれません。
- 生活するのに十分な給料が欲しい
- 休日をしっかりと取りたい
- 休日には友人との交友や趣味に没頭して人生を楽しみたい
何故なら、この種の要望とは正反対の仕事であるため、辞める可能性が「大」だからです。
アニメにも携わりたい、でも、人生も謳歌したい!
二兎追えるような生半可な世界ではなりません。特に最初はこの傾向が本当に強いです。
逆に、この現状を理解した上で、覚悟を持ってこの世界に飛び込むのなら、やっていけるかもしれません。
- 何としてでもアニメの世界で生きていく!
- 絶対に昇進して給料をアップを実現する!
- いずれは自分がアニメを創る!
これくらいの意気込みがあれば尚良しですね。
兎に角、アニメーターは非常に厳しい仕事なので、以下の問いにしっかりと向き合って決断して欲しいと思います。
あなたはどれだけの「覚悟」や「未来」を見据えて、アニメの世界に身を置くことを考えていますか?
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