昨今、経理職は非常に人気で、転職を希望する人が多くいらっしゃいます。
その結果、「未経験であれば、最低でも日商簿記2級は必要」といった情報が垂れ流され、さも資格を取ればそれが実現できるかのように言われています。
仮にあなたがほんの少しでもその認識でいるのなら、注意すべきかもしれません。
何故なら、現実はそう甘くはないからです。
- 簿記2級程度の知識は、経理をする上で最低限必要なので取得する
- 資格があると有利になるとは全く考えていない
- 応募条件として設定されていることが多く、それをクリアして選択肢を広げるために取得する
この認識で取得を目指しているのなら問題はありません。
この続きは読む必要もないですし、その意識で活動を続けて下さい。
逆に、「簿記2級の資格を取れば未経験でも経理職に就ける」と多少なりとも考えているのなら、少しだけ時間を割いて続きを読んで欲しいと思います。
経理は未経験者への問戸が極めて狭い!
未経験者を経理として雇ってくれる会社は存在するでしょうが、それはほんの一握りであるのが実際です。
これは、経理という仕事がその性質上、極めて即戦力性が求められる職種に分類されるからです。
基本的に経理部署は少人数で運営されており、中小企業であれば、1人ないし2人が主流です。
そんな中で企業が中途採用者を募る理由は以下にあります。
- 今いる経理担当者が辞めるから
- 急な欠員がでたから
つまり、転職者には短期間の引継ぎ期間(1、2ヶ月程度)で全ての業務を覚え、主力として活躍することが求められるんですね。
緊急を要する求人の場合は、超即戦力として「速攻で欠員によって滞った業務を担う必要がある」ということです。
これが事実だからこそ、経理の転職には以下の要素が色濃く反映されているんですね。
- 経験者が強く優遇される
- 経理の求人は「実務経験〇年以上」というものが多い
- 実務未経験での転職は難しいとされている
未経験のあなたが「仕事ができない」というのが不採用の理由ではありません。
そこには、「即戦力性で劣るから」という明確な理由が存在するのです。
これが経理職求人の実態であり、資格を取得しても転職を実現しにくい理由の一つです。
簿記2級以上を持つ経験者との競争に勝つ必要がある!
転職はグループ面接でもない限り、一人で行っているかのような錯覚に陥りますが、もちろん同じ枠を争うライバルが存在します。
そして、経理職は少人数制が基本なので、採用枠は大抵が1名(大企業でも募集は2名程度)です。
つまり、その会社に応募した人の中で「No.1」だけが採用されるんですね。
- 実務経験と簿記1級を持つ強力なライバル
- あなたと同じ簿記2級を持つ実務経験者
- 資格は未取得だが、豊富な経験を持つライバル
実務未経験で簿記2級を取得したあなたは、こんなライバル達との競争に勝たなくてはなりません。
資格の持つ力が、如何に些細なものが理解いただけるのではないでしょうか。
資格を持たない未経験者よりも少しだけ印象が良い...。
そんな程度です。
簿記2級程度の知識や資格は応募の必要条件であって、それがあることで有利になることは一切ない!
これが現実なので、「簿記2級を取得すれば経理に転職できる」といった情報に踊らされないようにしましょう。
資格の取得を頑張った!が通用するのは新卒採用だけ
経理職の面接で以下のような「頑張り」をアピールする人がいますが、転職では通用しません。
- 経理職に就きたいから資格を取得した
- 資格取得に向けて勉強中
新卒採用時の「資格があると有利になる」という流れから勘違いされがちですが、新卒は仕事での評価ができないので、「資格取得を頑張った」などが評価されることがあります。
でも、こと転職では「頑張った」は通用せず、「どんな経験があり、何ができるか」がシビアに問われます。
もちろん、ポテンシャル採用があり得る「第二新卒」などであれば頑張りも通用するかもしれませんが、即戦力性が強く求められる職種では厳しいです。
また、企業からすると、やりたいを実現するために「頑張ること」&「知識を付けること」は当たり前のことです。
- 頑張って資格を取ったんだね
- それだけ経理がやりたいんだね
- よしっ、あなたを経理として採用しよう
こんな温情での採用は絶対にありません。
会社というものは、「個人のやりたい!」を実現する場ではないですからね。
未経験者がアピールすべきこと!
未経験者であるあなたを採用するメリットを伝える!
未経験者がアピールすべきなのはこれです。決して、「簿記2級を取得した」という頑張りではありません。
経理経験を持つライバルがいるにも関わらず、採用側に「未経験のあなたが欲しい」と思わせる何かを提示しなければならない!
資格取得をアピールする人は、資格の力を過信している人です。もし、ライバルにこんな人がいたらラッキー、勝手に自滅してくれるはずです。
資格取得を実現した上で、未経験者のあなたがアピールすべきは以下の項目です。
- 採用側を納得させられる経理の志望理由
- 異職種で培った経理職でも活かせる経験やスキル
- 未経験でも即戦力として活躍してきた過去の実績や方法
- 未経験でも経理ができるという根拠
- あなたを採用するメリット
このアピールができて初めて、未経験のあなたが経験者と同じ選考の土俵に上がれます。
重要なので、もう一度言います。
これでやっと経験者と同じ土俵に上がれるのです。
つまり、資格の力を過信して準備を怠る人は、選考の対象にもなれないということ!
結果、簿記2級以上を取得したとしても落ち続けます。未経験はこれだけのハンデを背負っていることを理解しておいて下さい。
これは経理職に限った話ではないですが、即戦力性が重視される経理では尚更です。
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