転職を成功させる、より多くの給料を獲得する、その為には「市場価値の高い人材である必要がある!」 なんてことが言われますが、分かっているいるようでイマイチよく分からない、というのが「市場価値」という言葉ではないでしょうか。
自分自身の「市場価値」を理解する上でも、「市場価値の高い人材」とはどういった人材を指すのか把握しておきたいところです。
ここでは、ホワイトカラー系の仕事を「営業系」「技術系」「管理系」に分類し、それぞれにおける「市場価値の高い人材」について言及しています。市場価値を知る参考情報としてご利用下さい。
市場価値の高い営業とは?
ホワイトカラー系の仕事の従事者は「管理系5%」「技術系20%」「営業系75%」に分類できます。つまり、圧倒的多数の人が営業系職種に従事しているわけですが、「どんな営業が市場価値が高く優秀なのか?」はあまり知られていません。
この答えを知るには、「企業が採用にあたって何を見ているか」を考えると分かります。企業というのは、簡単に言うと「会社により多くの利益をもたらしてくれる人」を採用します。ある企業の採用活動で、100人の応募者から1人だけ採用するとしたら、一番多く売上を上げられる人を採用し、そうじゃない99人を落とす。これが採用の本質です。
ここで「営業職」という職種が会社で果たす役割を考えれば、営業の市場価値も見えてきます。業種を問わず、営業職の給料は、およそ「獲得利益 / 5 = 給料」となります。月給20万円欲しければ100万円の利益、月給50万円欲しければ250万円の利益を毎月会社にもたらす必要があります。
つまり、会社に「最も高い売上」「最も高い利益」をもたらすことができる人材こそが、市場価値の高い人材となります。
では、最も効率良く売上を伸ばす方法は何でしょうか? それは「より資本力の高い相手」に「より高い商品」を「より高い粗利」で「短期間」で「継続して」売ることです。
資本力の観点では、個人が相手であれば、一般客よりも富裕層に営業できる人。個人よりも、法人の方が圧倒的に資本力が高いので、個人営業よりも法人営業ができる人。法人の中でも、中小企業よりも、大企業に対して営業できる人。一般社員や課長相手よりも、社長・役員を相手に営業できる人、という順に価値が高くなります。
取引の属性の観点では、一度の売り切の取引ではなく、何年間も継続する取引を勝ち取れる人。商材の観点では、同じ性質の商品であれば、低単価の商品よりも、高単価の商品を売れる人。
更には、モノよりも、サービスを売る方が一般的に粗利が高くるので、無形物を売ることができる営業はその分価値が高い。外資系の金融業や、コンサルティングファームが高収入であることは誰もが知るところだと思いますが、これは、彼らが売っているものが、無形物で、高単価、かつ高利益率であるためです。
目に見えないものを、相当な高額で売る職種は、当然ながら難易度が高く、相応に高いビジネススキルが要求されます。それ故に、市場価値が高く、高給取りとなるのです。
たとえば、店舗を構え、お客様が自ら来店してくれ、購入してくれる。このような業態で働く「店舗系販売員(営業)」の給料は低いのが相場ですが、これは、営業系職種の中で最も難易度が低く、利益率も低いためです。つまり、営業の市場価値で言うと「低い」ということ。
この観点で言うと、「店舗系販売 ⇒ 個人営業 ⇒ 法人営業」といった方向で進むのが、キャリアアップ転職と考えることができます。
但し、同じ店舗系販売員の中にも、多くの売上をもたらせる人とそうでない人がいます。もちろん、この場合は「より多くの売上をもたらせる人」の市場価値が高くなります。また、一人の販売員として売上を立てる人よりも、店長として店舗全体の売上を管理できる人の方が価値が高くなります。
つまり、大分類である営業系職種全体での「店舗系販売員(営業)」の市場価値は高くはないが、その小中分類の中でも市場価値は存在するということ。そこで市場価値を高めていけば、大分類上の価値の高い業態で働いている人よりも給料は高くなります。
市場価値の高い技術者とは?
極端な例ですが、軍事衛星をつくれる技術者と、アルミ缶をつくれる技術者を比較すると、軍事衛星の技術者の方が給料が高くなります。何故なら、軍事衛星の方が値段が高く、より高い技術力が要求されるからです。
更に、軍事衛星は製品のライフサイクルが長く、頻繁に買い換えないので、メンテナンスなどで莫大なお金も取れます。他社が追随できないような技術を持っていれば、20年、30年と継続受注でき、長期間に渡って安定した利益を確保できます。
技術者の市場価値においては、この「利益」が重要なポイントになります。
より短期間で、より高い値段で売れる商品を開発し、その商品をより安いコストで作成し、よりロングセラーにできる。そんな技術者は会社により多くの利益をもたらことになるので、当然、技術者としての市場価値は高くなります。逆に、低利益の賞味期限の短い商品を開発する技術者は、会社からすると価値が低いのです。
技術者に限らず、モノだろうが、サービスだろうが、市場価値の考え方は同じです!
弁護士であれば、より高い値段の訴訟を、より有利な条件で勝ち、より多くのお金を取れる人。経理であれば、より多くの金額を取り扱う企業において、より多くの金額が節税でき、より多いお金を銀行からより低い金利で引っ張ることができる人、となります。
市場価値の高い管理職とは?
管理職においても、同様の感覚で市場価値を計ることができます。
たとえば、生産性の低い部下10人をマネジメントする人よりも、より高い生産性の部下を10人マネジメントできる人の方が価値が高くなります。更に、10人ではなく、50人をマネジメントできれば、5倍の利益を出していることになるわけで、価値は高くなります。
もちろん、管理職には人徳やマネジメント力という要素も要求されますが、企業が見ているのは、「何人マネジメントし、部下たちの利益を何%向上させられるか」といった部分。よって、より生産性を上げられるレベルの高い人を、より多い人数仕切れる人ほど価値が高くなるのです。
あらゆる職種で、個人がいくらのお金を生んだのかは計算することが可能です。その為、自分自身の「市場価値」の向上を確認するには、「以前よりも大きな利益をもたらすことができているか? を見ればよいわけです。
また、大抵の場合、「市場価値の向上」は昇進・昇給に深く関わっています。会社というのは、以前よりも多くの利益をもたらしてくれたからこそ、あなたにその分を給料として還元するのです。逆に、1年前と同じレベルの仕事をこなし、同じ利益しかもたらしていなければ、市場価値は平行線で、昇進・昇給もないのが普通です。
転職では、自分自身の「市場価値」を数値で示し、「私を採用すれば、これだけの利益をもたらすことができます!」を売り込むことが必要です。その価値が周りの応募者よりも優れていれば採用され、劣っていれば不採用となる、というのが採用の本質です。
この機会に、自分自身の市場価値について考えてみましょう。