転職は社会人経験を持つ人物を採用するわけで、基本的にポテンシャルだけで採用することはありません。つまり、「あなたがどんな経験を持ち、何ができるのか」が焦点となります。
それ故、面接において「実績・評価」が必ず問われるんですね。
- 前職で挙げた実績について教えて下さい
- 今までの評価について教えて下さい
この質問は採用可否を大きく左右する質問なので、企業側の質問意図をしっかりと把握して回答を準備しておく必要があります。
ここでは、そんな重要項目である「実績・評価」に関する質問について、「企業側の質問意図」「NG回答例」「OK回答例」を交え詳しく解説していきます。
企業側の本音 ~ここが知りたいポイント~
企業側はこの質問の回答から何を探ろうとしているのでしょうか。
まずは、企業側の「質問意図」を把握しましょう。
- 実績・評価をどのように挙げたのか、その背景が知りたい
- 等身大の自分を客観視できているのかを知りたい
- 大袈裟な自慢話を聞きたいわけではない
前職の実績や評価について「どう語るか」ですが、通常は先に応募書類でアピールしているはずです。ですから、定量的に表現できるものはそのまま伝えればOKです。例えば、「年間〇〇円売り上げた」「目標比〇〇%を達成した」といった数値実績は分かりやすいでしょう。
ただ、業務実績を数字で表しにくい職種が存在することも事実で、その場合は上司や同僚からのインフォーマルな評価(「よくやってくれている」「期待している」などと言われた経験)でも構いません。但し、語る内容には必ず「客観性」が必要で、独りよがりの内容では「それって本当?」と懐疑的に見られて評価されません。
採用企業は、「一人で大偉業を打ち立てた」といった大きな実績を期待しているわけではありません。地に足の着いた等身大の自分を語ればOKです。
何よりも重要なのは、その業績・評価を生み出した背景を交えて客観的に語ること!
企業側は、その業績・評価が「たまたまラッキーが重なっただけなのか」「企業の知名度や力によるものなのか」、それとも「応募者の努力や仕事の取り組みによるものなのか」を知りたいのです。その上で、応募者が当社に入社しても役立つ人材なのかを確認し、採否の判断材料にしたいと考えているんですね。
NG回答例
実際の面接の場でよくある「NG回答」について見ておきましょう。
「私は与えられた仕事を誠実にこなしていただけですので、これといった実績はありません。」
「会社や上司が評価してくれる環境ではなかったので、私は頑張っていましたが評価されませんでした。」
まず、「大きな実績を一人で挙げた」などの言い方は、考えが甘いと捉えられる危険性が高いです。また、10億円という大きな実績ではなく、「それをどう達成したのか」が聞きたいわけで、具体的な説明がないのはNGです。
勘違いしてはいけないのが、「10億という高い実績 ⇒ この人は凄い人だ ⇒ 採用」とはならないということです。高い実績を並び立てるだけでは全く意味がありません。これがまかり通るならば嘘を並び立てた人が勝つことになります。
また、転職の面接において、「全く実績がない」「会社や上司のせいで評価がない」は論外となります。こんな人を採用したいと思う企業は存在しません。この種の回答は「仕事ができない人」と捉えられて不採用となるだけです。
OK回答例
この質問の回答としては、どんな内容が適切なんでしょうか。
前職ではHPや折込広告からの反響営業がメインで、これは展示場に来場するお客様を待つスタイルなので、社員間で実績差がつきにくい状況でした。そこで私は売上アップのため、紹介者に謝礼をお支払いするという紹介制度に注目し、これを機能させるためには、既に購入いただいた方へのアフターケアが大切だと考えました。
今までの営業は、売上に直結しないという理由からアフターケアを怠ってきたのですが、私は売りっぱなしではなく、こまめに連絡を入れて不具合がないかなどを聞き、信頼関係を構築するように努めました。
その取り組みが実り、購入者アンケート総合評価3期連続でトップとなり、既存客から毎年着実に紹介案件をいただくことに成功し、目標のクリアと共に成約件数の約30%を占める実績を挙げるまでに至りました。」
この回答例は、目標を達成してきた理由を「問題点発見から具体的な取り組みに至るまでの経過」を交えて語ることができています。この内容であれば、企業を納得させられることができ、入社後にも同様の取り組みで成果を出してくれることを想像させることができます。
この質問の回答ポイントは、「私はこんな実績・評価を持っています ⇒ それをこんな方法で実現しました」を語り、企業側に「この人であれば自社でも成果を出せるだろう」と連想させることにあります。
自分の準備した回答を企業側の視点で確認し、このポイントを満たしているかを確認しましょう。それが、この質問を突破するカギとなります。