転職の面接では「仕事」に関して問われることが多いですが、質問意図が分かりづらく、答え方が難しいものも存在します。それが以下のような質問です。
- 当社ではどういった仕事をしたいですか?
- 当社に入社しましたら、どんな仕事をしていきたいですか?
企業はこの質問で何を探り、どんな回答を求めているのでしょうか。この点をしっかりと把握しておかないと、誤った回答で評価を落とし兼ねません。
ここでは、適切な回答を導くため、「企業の質問意図」「NG回答例」「OK回答例」を交え詳しく解説しています。
企業側の本音 ~ここが知りたいポイント~
企業はこの質問の回答から何を探ろうとしているのでしょうか。適切な回答を準備するため、まずは、企業の「質問意図」を把握しましょう。
第一に、当社の仕事内容について正しく理解しているのかを探っている。また、「やりたいこと」と「やれること」を切り離して考えられているか、実現の可能性(幻想を抱いていないか)を正しく認識できているのかも確認している。
この質問は、応募企業の仕事内容を正しく理解していないと適切な回答を示すことはできません。その為、「事前の企業研究の深度が問われている」と認識しておく必要があります。
言葉通りに受け取ると、自分の願望を素直に伝えれば良い質問に感じますが、新卒採用時に見られる「商品企画がやりたいです!」といった根拠のない願望レベルの回答は、中途採用者を募る転職では通用しません。
また、「20代中盤までの若年層」と「ある程度のキャリアがある30代前後」では求められる答えも違ってきます。前者は「自身のポテンシャルやパーソナリティに基づいたやりたいこと」、後者は「キャリアに基づいたやりたいこと」を語る必要があります。
もちろん、企業側も本人のモチベーションが上がる分野の仕事をしてもらいたいと考えています。ただ、その「やりたいこと」が実現可能でなければ意味がありませんし、やりたいをやれる根拠を持っていないと任せられません。
その為、やりたい仕事と現実・現状にズレや勘違いがあったり、妄想レベルの回答は受け入れられません。
NG回答例
実際の面接の場でよくある「NG回答」について見ておきましょう。
「昔から憧れていた〇〇の仕事がやりたいです。」
「私はリーダーシップに自信があるので、マネジメントの仕事がやりたいです。」
転職においては、新卒採用時のような「学生時代のエピソードに基づいた答え」ではさすがに幼稚すぎます。また、「好きだから = その仕事ができる」は成立しませんし、「リーダーシップがある」という自己申告レベルの話でそれを任せてもらえることもありません。
つまり、この回答では「なぜ、それをやりたいのか」「どうしてそれができるのか」といった具体的根拠(経験・実績・スキル)を示す必要があるということです。
会社は個人の「願望」を叶える場ではないので、根拠のない「憧れ」や「好き」は通用しないと認識しておきましょう。
OK回答例
この質問の回答としては、どんな内容が適切なんでしょうか。
御社には社内マイスター制度があると伺っておりますので、御社に入社が叶いましたら、より一層技術に磨きをかけ、社内マイスターの称号を得られるように努めたいと思います。
また、社の更なる発展のため、私が培ってきた技術やノウハウを、若い世代に伝えていくことにも挑戦していきたいと考えております。
この回答例は、自身の豊富なキャリアに基づいた「やりたいこと」を明確に話すことができています。「自身のやりたいこと」と「応募企業で実現可能なこと」が一致している為に、語る内容に説得力があります。
また、やりたいことだけに終始するだけでなく、新たに挑戦していきたいことも追加で語っているので、採用側に期待感を抱かせることもできています。
この質問は「あなたのやりたいことが応募企業で実現可能であること」を前提に、「やりたことができる根拠」を示す必要があります。
ただ、「若年層で経験が不足している場合」「未経験職への挑戦の場合」は明確な根拠を示すことはできません。その場合は、「なぜ、その仕事をやりたいのか(向いているのか)」を自身のポテンシャルや異業種で培った経験から示す必要があります。
未経験OKの若年層を募る転職であっても、「単に興味があるから」レベルでは通用しないことが多いので注意しましょう。
未経験者は「〇〇の経験(理由)からその仕事がやりたい」と具体的に示し、更に「それをやる為に既に〇〇している」という意欲を同時に示したいですね。それができて初めて未経験者であってもポテンシャルで採用を検討してくれます。