転職は基本的に「何らかの不満を解消すること」を目的に行います。
その目的を達成するために行動を起こすことは何も間違いではありません。
ただし、その際に知っておいて欲しいことがあります。
それは、仕事の満足度を示す4要素の総合点をトータル的にアップする転職は難しいということです。
転職を考えだすと「転職先で心豊かに満足感を持って働く自分」を想像しますが、
想像通りの結果が簡単に得られるほど社会は甘くありません。
これが現実ですから、その事実をしっかりと把握して転職に臨むことが大切です。
仕事の満足度を示す4つの要素と転職の関係
まず、仕事の満足度について見ていきましょう。
仕事の満足度を示す要素と言われると難しく感じてしまうかもしれませんが、
実は大きく分けて4つしか存在しません。
- 収入
- 時間
- やりがい
- 人間関係
一般的に、これらの要素が全て高水準であれば、仕事に対する満足度が高く「転職したい」「辞めたい」という気持ちは芽生えません。仮に1つの要素が50点前後であっても、他の要素が80点以上なら、辞めたいと思う人は少ないですし、転職すると、かえって満足度が下がってしまうことが多いです。
また、一つの要素が100点に近い、この場合も他の要素が低くても耐えられたりします。
例えば、「残業が多く、平日は仕事漬けで自分の時間を持てないが、給料が業界最高峰で何の不満もない」「人間関係が最高に良好で、激務だが楽しく充実して働けている」などです。
逆に、「2つ以上40点以下がある」または「1つが著しく低い」と不満を抱き、
会社を辞めたいという気持ちが芽生えてしまいます。
これが4要素と転職の関係です。
なぜ、4要素を総合的にアップするのは難しいのか?
転職の理想は「今の会社の良いところを残しつつ、不満が解消されること」だと思います。
つまり、満足している要素の点数を維持しつつ、不満を抱いている要素の点数を上げることですね。
でも、はっきり言ってこれは難しい。
なぜなら、そこには以下の理由が存在するからです。
- 今のあなたの実力にあった会社にしか採用されない
- 総合点が高い会社は中途採用者を求めていない
- 満足度を示す4つの要素は反転的に結び付いている
まず、転職というのは「今のあなたの実力に見合った会社」にしか採用されません。
あなたの実力で良しとしてくれる会社、これ大抵は「今の会社と同等」なんですね。
更に、転職活動に手を抜く人は、同等レベルの会社に入ることも難しくなります。
つまり、総合点は変わらない、または下がるのが一般的なんです。
次に、総合点が高い満足度の高い会社は「人が辞めないので中途採用を行っていない」という現実もあります。
あなたが転職して入社する会社は、極めて高い確率で「誰かが不満を持って辞めた会社」です。
人が辞めるような会社ですから、総合点がトータル的に高いなんてこともありません。
このように、転職市場の実態が総合点アップを実現するのに適していないんですね。
また、満足度を示す4要素は反転的に強く結びついています。
例えば、給料が多い会社は、業務量(残業)が多く、求められるレベルも高いことが多い。
つまり、「収入」を求めるならば、「時間」を犠牲にすることが多く、プレッシャーや要求もきつい。
逆に、プライベートな「時間」を求めるのならば、「収入」を犠牲にする必要がある。
更に、「やりがい」が大きい人気のある仕事は、薄給であることが多い。
なぜなら、その仕事をやりたい人が後を絶たないので、給料を高く設定する必要がないから。
つまり、「やりがい」を重視するのならば、「収入」を犠牲にすることが多い。
このように、仕事の満足度を示す4要素は反転的に結びついているんですね。
これも、転職で総合点をトータル的にアップするのが難しい理由です。
転職をするにあたって「この不満を解消したい」という思いがある場合、
業種・職種を変えずに他の要素の点数を少し下げて転職先を探すのはさほど難しくありません。
逆に、全ての要素をアップさせるのは非常に難しいということなんですね。
要は、「何かを求めるのならば、何かを犠牲にする可能性が高い」というのが転職なんです。
まとめ
上記の現実が全てのケースに当てはまるわけではありません。
あなたの持つ経験・スキル・実績が優秀で、
それが多くの企業から求められるレベルであれば「総合点アップ」も可能です。
ただ、「全ての要素をアップさせるのは難しい」「何かを犠牲にすることになる」が転職の常識ですから、
それをしっかりと理解した上で転職に臨んで欲しいと思います。
転職の厳しい現実を理解していれば、転職後の後悔を減らすことができます。
転職の厳しい現実を理解していれば、活動に全力で臨むことができるはずです。
お金、時間、やりがい、人間関係。
「転職で点数アップを実現したい項目は何ですか?」
転職で全てを求めることはできません。
あなたにとって本当に大切なものは何なんのか。
今だけでなく、未来を見据えてしっかりと考えましょう。