35歳以上の転職の場合、「供給過多」という需給環境となるため、どうしても「自分を採用してくれる会社選び」という観点になりがちですが、どんな会社でもOKというわけにはいかないので、「年収はいくら?」「土日祝は休めるのか?」「残業はどれくらい?」「福利厚生は?」などの希望条件も付いて回ります。
ただ、この条件を重視しずぎて転職活動していると、採用側から「受益者視点のみで応募してきた人」と捉えられる可能性があります。要は、「いくらくれるの?」「どんな条件で働かせてくれるの?」という、「入社さえすれば会社が〇〇を与えてくれる」という受動的思考です。
豊富な社会人経験を持つはずのミドル世代が、この視点で転職に臨むとまず間違いなく失敗します。
基本的に、「給料(各種労働条件や待遇)」と「労働力の提供(利益を供与)」は等価交換の取引、つまり「ギブ&テイク」です。そういう意味では、正社員も派遣社員も業務委託も原則は同じです。
ただ、正社員の場合は特に、「会社にどれだけ貢献できるのか?」「会社にいくらの利益をもたらせることができるのか?」というギブの話がまず先にあって、そのギブを値付けしたらいくらに相当するのか、というテイクの話ができると考える企業が大半です。
つまり、35歳以上の転職を、売り手が多く買い手が少ない市場での「等価交換の契約」だと考えると、まず先に何かを売りたい側(求職者)が価値をアピールし、買いたい側(採用側)の気持ちを高めていくという順が合理的だということです。
35歳以上で転職を成功させる(自身の望む条件を勝ち取る)人は、この視点をしっかりと理解した上で活動しています。「私はこれだけの利益を御社にもたらすことができます ⇒ だから、これだけの給料を望んでいます」という順ですね。
給料や待遇は自らの成果で獲得するもの!
この思考を持っている人は強く、35歳以上であっても転職を成功させます。逆に、相手に与えるものも提示せず、受益者思考で活動する人は失敗に終わります。これは何も35歳以上の転職だけに限った話ではありませんが、若年層よりも厳しくジャッジされるのは間違いありません。
ただでさえ厳しいミドル世代の転職、この「視点の違い」が大きく成功・失敗を分けると言っても過言ではありません。
更にミドル世代の転職においては、個人プレイヤーとしての貢献だけでなく、若手のマネジメントを通じた組織成果への貢献や、即戦力として成果の即効性が強く求められることも頭に入れておきましょう。ミドル世代、何が求められ、何をアピールすべきか、ここを見誤っては成功は勝ち得ません。
また、視点の違いを「企業選び」の観点で考えると、「どんな会社でいくら給料がもらえるのか?」といった視点ではなく、「自分が入社することで成果を大きくできる会社はないか?」「自分を採用しなければ損する会社はどこか?」といった視点で探してみると新たな発見があるかもしれません。
この視点で探し当てた会社こそ、あなたの経験が生きて成果が出せて、かつ望み通りの給料や待遇が勝ち取れる会社、強いてはあなたがイキイキと働ける会社と言えるのではないでしょうか。