人材ビジネスの現場では、業務の効率化を徹底的に重視した手法をとる会社が少なくありません。
特に、分業体制をとるエージェントの場合、コンサルタントは厳しい営業ノルマを課され、行動を数値管理され、下手をするとサービスの質よりも業務効率が優先されている現場もあります。その結果、一人の求職者に対してあまり多くの時間を掛けてサービスしたがらないコンサルタントが生まれるようになります。
たとえば、「求職者と面談すらしない」なんてコンサルタントも存在します。そして、求職者から預かった職務経歴書をそのまま企業に提出し、あとは「結果がでたら連絡します」とただそれだけなのです。要は、流れ作業的に多くの求職者を扱い、もし万一上手くいってくれたらラッキー的な考えなんですね。
もちろん、転職支援サービスは営利ビジネスであり、コンサルタント自身の生活や会社内での立場を考えれば、営業ノルマを達成するためになりふり構ってはいられない状況なのかもしれません。非常に厳しい仕事なので、そこに多少なりとも同情の余地はあります。
ただ、求職者側からすると「向こう側の事情」なんては関係のないことであり、こちらも転職という人生における重要な分岐点を迎えているわけで、適当にあしらわれたのでは人生を壊されかねません。
それ故に、本当に価値のあるサービスを受けるためにも、「無能なコンサルタント」と「優秀なコンサルタント」の特徴を知り、コンサルタント(人材紹介会社)を取捨選択していく必要があるのです。
優秀なコンサルタントは時間をかけてくれる!?
前述した通り、求職者の立場に沿ってサービスを提供できないコンサルタントがいる一方で、惜しみなく時間を掛けてくれるコンサルタントもいます。
たとえば、面接対策として、忙しい時間を割いて「模擬面接」をしてくれる人もいます。「面接の定番質問を先にメールで送っておくので、次回までに答え方を考えておいて下さい」と電話で話し、後日直接会って本番を想定した対策を施してくれるのです。
エージェントの公式サイトには「模擬面接」と当たり前のごとく書いてありますが、内実はコンサルタント次第です。また、優秀な人は「今回の面接官は〇〇な人物で、◇◇のような面接の仕方をします」「過去に不採用となった人の理由は〇〇です」と、内定獲得に向けて「有益な情報」も提供してくれます。
結局、優秀な転職コンサルタントであるほど、求職者に対してじっくりと時間を掛けてくれるものなのです。何故かというと、そうしたサポートをすることによって、「求職者の採用される確率が上がる」「強いてはそれが自身の売上として返ってくる」と知っているからです。
逆に、無能なコンサルタントは、そのことを理解していません。だから、「担当した求職者は内定を獲得できない ⇒ 売上が立たない ⇒ 数値ノルマに追われる ⇒ 更にサービスの質が落ちる」という悪循環に陥っているのです。
これが転職エージェントの実態ですから、担当のコンサルタントの優劣を見極める際は、「自分の為にしっかりと時間を掛けてくれているかどうか」という部分に着目してみて下さい。
時間という観点でお伝えしてきましたが、ただただ時間が長ければ良いというわけでもありません。参考にならないアドバイスや情報を長々と聞かされても価値はないですし、無意味に何回もエージェントのオフィスに呼び出されても迷惑なだけです。
ここは、コンサルタントが提供しようとしているサービスの中身もしっかりと吟味して、今後も付き合いを続けるべきかを判断して下さい。そして、一人のコンサルタントだけにこだわらず、複数の会社を併用することも大切です。複数のコンサルタントと出会うことで、優劣がはっきりと見極められます。
また、前項でも述べた通り、転職支援サービスは営利ビジネスなので、やっぱり市場価値の高い人(内定を獲得する可能性が高く、大きな報酬に繋がる可能性のある人)を優先対応します。この点は営利企業である為に仕方がない部分ですから、相手側の立場も理解した上で利用することをおすすめします。