人生的な視点で考えると、30代後半から何か新しいことを始めるのは決して遅くはありません。しかし、こと「転職」に関しては、この考え方は正しいとは言い難いのが現実です。
転職市場には、「職種を変える転職は基本的に25歳まで」「業種を変える転職は基本的に29歳まで」といった考え方がありますが、ここにはやはり「それ相応の理由」が存在するんですね。
30代後半で「未経験」を目指すことは「悪」ではないですし、転職して今よりもハッピーに働けるのであれば、人生においてマイナスにもならないでしょう。ただ、「現実をしっかりと理解した上で未経験を志して欲しい!」 というのがここでお伝えしたいことです。
30代後半の未経験職需要は極少で、かつ、暗い闇が!
一般的に企業というのは、同じ仕事なら、より若くて(より長く働いてくれる可能性がある)、安い(人件費が安い)人材に仕事を頼みます。これが原因で35歳を境に求人が激減するわけですが、「未経験」ともなると更に拍車がかかります。
つまり、30代後半(35歳~39歳)に対する「未経験需要」は、そもそも論としてほとんど存在しないということであり、未経験職に転職すること自体が非常に難しいことなのです。
転職市場は「需要」と「供給」で成り立っているわけですが、「需要がない」というのは転職する上で最も大きな障壁です。そのため、自分自身が希望する職に就くことは容易ではなく、「未経験で受け入れてくれるならどんな仕事でもいい!」くらいの考えが必要となります。
30代後半であっても「未経験」で受け入れてくれる会社(業種・職種)は存在するも、そこには「負の理由」が存在する場合も多いです。「多くの人が避ける不人気な仕事だから」「離職率が高すぎて年齢を気にしていられないから」「人を使い捨てるようなブラックだから」といったものです。
前述した通り、基本、企業は若くて安い人材を募ります。それにも関わらず、ある程度年齢を重ねた人材を「未経験OK!」で採用するということは、やはり「何かしらの理由」が隠されているのです。そして、その何かしらの理由、大抵は働く側にとってデメリットとなる要素です。
- 30代後半の未経験需要は限りなくゼロに近い
- 30代後半の未経験OKには「何かしらの負の理由」が隠れている
こうした現実がある中で、今までの経験を無視した「未経験」を志すことにメリットはあるのでしょうか?「今回の転職でどうしても職を変えたいので、どんな仕事でもやるつもりだ!」くらいの覚悟を持っているでしょうか?
この問いを真剣に考えて欲しいと思います。
転職するにあたり、これまでとは異なる職種(未経験)を志す「明確な理由」があれば問題ありませんが、「今の仕事が面白くないから」「30代後半、残りの人生は違う仕事をしてみたい」といった安易な理由で「未経験」を志すことはおすすめしません。
新たなことに挑戦するという姿勢は素晴らしいのですが、転職においてはマイナスに作用することがあるからです。はっきり言って、日本の社会はそれほど優しくないですし、高い志があれど、年齢がそれを阻むこともよくあります。
30代後半から未経験職に就くと、生涯年収に大きく影響する!
給与交渉しようにも、未経験ではアピール材料がなく、高額な報酬を求める「30代後半・未経験」を雇う理由も企業にはありません。つまり、未経験職に就くということは、給料は最低ラインからのスタートを覚悟しなければなりません。
20代中盤までの若い時分に給料を最低ラインに落とすのはさほど問題ではないですが、30代後半ともなると事情は異なります。転職後に給料を上げていけばいいのですが、定年までの期間も短く、限界があります。その為、この年齢で給料を下げると、生涯年収に大きな影響を及ぼすことになります。
この現実を想定しているでしょうか?
極論を言うと、仕事なんてものは「給料(お金)」を得ることのみが目的であるので、この問題を疎かにしてはいけません。たとえ、望み通り新たな職(未経験)に就けたとしても、「給料の低さに嘆く時」が訪れるかもしれません。
給料は低くても問題はない、一生一人で生きていく、なんて覚悟があれば問題はないでしょうが、「家族を養っていかなくてはならない」「結婚してそれ相応の暮らしをするつもりだ」なんて人は本当によく考えるべきです。