ある種の割り切りが必要!
30代以上の転職を一言で表すと、こう言わざるを得ないのではないでしょうか。
年齢を重ねるにつれて転職が厳しくなるのは紛れもない事実です。まず、一つの区切りとして35歳以上になると求人の数が極端に少なくなります。また、異職種(異業種)へのチャレンジも年齢に比例して厳しくなります。
これが事実だからこそ、30代以上の転職には「ある種の割り切り」が必要だということです。
- 年齢制限に引っ掛かる企業はスパっと諦める!
- あきらかに若い人材を欲しているだろう企業も無視!
- 自分の経験が活かせる業界(職種)に的を絞る!
こんな風に割り切って前に進むしか道はありません。
決して転職できないわけではありません。
ただ、厳しいことは100%事実です。
若返ることはできないので、これは受け入れるしかありません。
そこで重要になってくるのが、その現実を理解しつつ「どう戦うか」ということです。
- 年齢相応のキャリア(経験・実績・スキル)が求められる
- 企業から敬遠される理由を知って対策する
- 選択の幅を広げて検討することで転職を実現させる
30代以上の転職を成功させるための参考にしていただければと思います。
1.年齢相応のキャリア(経験・実績・スキル)が求められる
何よりも重要なのが「年齢相応のキャリア」を持っているかどうかです。
何故なら、年齢を重ねている分だけ、若年層の転職者が持ち得ないキャリアやスキルが求められるからです。例えば、「強力な即戦力性」や「マネジメントスキル」などです。ここは、応募書類や面接で重点的にアピールしたいですね。
逆に、年齢相応のものを持っていない(若年層の転職者と同レベル)場合、相当に厳しい戦いが強いられることを覚悟して臨まなければなりません。
即戦力性をアピールしよう!
過去の職務経験から「即戦力として貢献できること」をアピールする必要があります。要は、「この人なら、現場に入って初日から活躍できるだろう」と思わせることが大切だということです。
そこで重要になってくるのが「企業のニーズを的確に把握する」ということです。
作業レベルに落とし込むと、「求人情報や企業研究からどんな人物やスキルが求められているのかを調査する」ということが必要になります。そして、企業のニーズと過去の職務経験から得たスキルをマッチングさせ、職務経歴書や面接でアピールしていきます。
このマッチングからの即戦力性のアピールなくして内定は勝ち取れません。
マネジメントスキルをアピールしよう
マネジメントスキルと一口に言っても難しいですが、基本的にマネジメントの対象は「人」「物」「お金」「情報」の4つであり、経営理論では、これら4つのリソース(資源)を有効に活用し経営効率を最大化させることとなっています。
この全てを満たしていなくも、いずれかのマネジメント経験があれば問題ありません。経験したマネジメントの規模・内容などを応募書類や面接でアピールしましょう。
また、具体的な肩書きが無かったとしても、企業内のある部署でリーダー的な役割を担っていた経験、プロジェクトを取りまとめながら業務を遂行した経験、などは充分に価値があります。
それらを上手く纏めてアピール材料としましょう。
要は、一般的な平社員ではなく、リーダー的役割を任されるような「仕事ができる人間である」ことを伝えることが重要なんですね。職歴に応じたマネジメント経験がないと、「仕事ができない人なんだ」とマイナスに捉えられることがありますし、この部分こそが若年層との違いを最もアピールできる部分でもあるからです。
マネジメントスキルがあれば、企業がそのポジションまでを想定して求人を出している場合には有利に運びます。また、このスキルが高ければ、異業種であっても採用のチャンスは高まりますから、業界を越えて検討することも可能になります。
2.企業から敬遠される理由を知って対策する
年齢を重ねていると、どうして企業から敬遠されるのでしょうか?
この理由を知って対策しておくことも大切です。
これは決して「仕事ができないから」ではありません。社会人経験が浅い人間よりも、経験が長い人間の方が仕事ができる人は多いはずです。それにも関わらず「何故若い人が優先的に採用されるのか?」という部分です。
企業は年齢を重ねている転職者に対して以下の不安を抱いています。
- 固定観念を持っていて柔軟性に欠けるのではないか
- 自社の方針ややり方を受け入れられないのではないか
- 経験してきたこと以外の仕事に積極的に取り組めないのではないか
- 変化に対応できないのではないか
- 現場の上下関係と年齢の逆転に対応できないのではないか
これは、社会人経験が長く年齢を重ねている程にそう思われています。また、今まで転職経験がなく、一つの会社でずっとやってきた人にも当てはまります。同業種・同職種であったとしても、会社が変われば考え方や取り組み方は大きく違うので、この点に柔軟に対応できるのかが問われます。
そこに「前の会社はこうだった」「そのやり方はおかしい」「それは受け入れられない」などのプライドは邪魔なわけです。まずは、その会社のやり方に従って柔軟に対応していくことが求められます。改善点があれば、それは後から提案して変えていくという姿勢が大切でしょう。
また、想定外の仕事や、前の会社では自分がやる必要が無かった仕事を任される可能性も大いにあります。これに対しても柔軟に対応できるかも問われているので、「これは自分がやる仕事ではない」は通用しないと認識しておきましょう。
そして、あなたの年齢や会社の年齢層によっては、上下関係と年齢の逆転も発生します。そんな環境でも自分は新人だという認識をもって、年下の上司からの指示・命令を素直に聞くことができるのか。これも非常に重要なことであり、面接で問われることも多いです。
これらの対策としては、面接では自分のスキルや考えをアピールしつつ、謙虚さも伝えていくことです。また、変化に対応できることを示すため、会社内での異動や新しいプロジェクト等で変化に対応してきた実績もアピールしたいですね。
3.選択の幅を広げて検討することで転職を実現させる
ある程度の年齢を重ねているが、強みとなるキャリアやスキルも持っていない...。
それでも転職の道がないわけではありません。
選択の幅を広げることで転職を実現することも可能です。
選択の幅を広げるとは、以下の考えで転職先を選ぶということです。
「常に求人がある職種を候補に入れる!」
「避ける人が多く慢性的に人手不足の業界や職種も候補にいれる!」
例えば、営業職、介護職、運送業、飲食サービス、各種サービス業などですね。
詳しく説明する必要はないと思いますが、実力主義、薄給、激務、イメージが悪いなどで敬遠されがちで、かつ離職率も高い業界や仕事です。これらの仕事は実際に門戸が広く、少しくらい年齢が高くても受け入れてくれます。
また、企業規模によってもこのような傾向があるかもしれません。中小企業は採用にあまりお金を掛けれませんから、ハローワークや求人誌だけしか求人を掲載していないといった企業も数多くあります。これらの媒体の求人も確認することで選択肢を増やすことができます。
これまで「どう戦うか」をお伝えしてきましたが、30代以上の転職に必要はことは以下の通りです。
- 年齢制限に引っ掛かる求人は割り切って捨てる
- 不利な条件を抱えていることを自覚して活動する
- 自分の職歴を徹底的に棚卸して企業のニーズとマッチングさせる
- 若年層には無いスキルやキャリアをアピールする
- 固定観念や不必要なプライドは捨てる
- 可能な限り多くの媒体に目を通して選択肢を広げる
今の社会は人が流動的で多くの企業で人材を求めていますから、どの年齢であっても転職のチャンスは充分に存在します。ただ、そこには年齢相応の経験・能力が求められるということす。
つまり、これがあれば選択肢が広がり望みの転職を実現しやすい。逆に、これが無い場合は、選択肢は狭まり、妥協が必要になってくる。厳しいですが、これが転職市場の現実です。自分の置かれている立場をよく理解し、それに応じた活動を行いましょう。