「まぁ、何とかなるだろう・・・」
これは、退職ありきで転職しようとする人の共通認識です。
転職することでキャリアダウンしてもいいのなら、この発想でもいいと思います。逆に、キャリダウンを避けたいと考えるのならば、どんな理由があろうとも、現職に留まりながら次の会社を探すべきです。
もし、あなたが今の会社を退職してから次の会社を探そうと考えている場合、間違いなくキャリアダウンすると思います。何故なら、企業は働いている人を評価し、働いていない人を評価しないからです。たとえ内定を取れたとしても、あなたの足元を見て満足いく条件も提示されないでしょう。
会社を辞める動機は人それぞれです。
- 現職が忙しくて転職活動する時間が確保できないから
- 資格取得にチャレンジしたいから
- 今の会社を一日でも早く辞めたいから
- 退職して少しゆっくりしたいから
- 早期退職制度に応募したから
しかし、たとえどんな理由があろうとも、会社を退職してからの転職活動ほど厳しい戦いはありません。現実を知る前に会社を辞めてしまうと、サラリーマンとしての破滅が待っている可能性すらあります。
大袈裟だと思うかもしれませんが、それだけ無職状態での活動には危険がはらんでいるのです。
退職後の転職活動に潜む悪循環
あなたが今日辞表を提出し、明日から会社に行かなくてもいい状況になったとします。会社からは残りの給料と退職金が支払われ、円満に退職できました。これで今まで自分を縛っていた環境から脱することができ、晴れやかな気分になるでしょう。
そうすると人は、「少しくらいのんびりしても大丈夫だろう」と自由を満喫することを考えます。当面はお金にも余裕がありますし、ハローワークからの失業保険も下りるので、その自由を満喫できるでしょう。
その後しばらく経過して、そろそろ転職活動に本腰を入れようと、エージェントや転職サイトに登録し、興味のある会社に応募するなどの行動を起こすようになります。しかし、思った以上に成果が上がりません。
登録したエージェントからは連絡も無く、直接応募した会社からの結果もなかなか届きません。そうなると次第に不安になってきて問い合わせをするのですが、当たり障りのない回答しか返ってきません。
その結果、希望条件を下げざるを得ない状況に追い込まれます...
エージェントの担当者からも「もう少し条件を下げませんか?」と提案されます。条件を下げると、確かに書類が通るようになりました。でも、面接ではなかなか結果が伴いません。何故なら、退職して活動している理由(企業が納得する理由)を語れないからです。
そして、「こんなはずではない」と更に焦るのですが、もうこの段階になると内定の獲得が目的となり、キャリアアップどころではありません。そこで妥協を重ね、ようやく内定を取ることができました。
この段階では、内定が取れたことに満足してしまい、条件に関わらず、その内定を受諾することになります。でも、よくよく内定条件を見ると、退職前にもらっていた給料をはるかに下回り、労働条件なども更に過酷になっていて、転職の目的が何も実現できていないのです。
自分を安売りしたことによる結果なんですが、そもそもの原因は情報不足・準備不足の状態にも関わらず、「退職してから活動する」という選択をしたことにあります。
そして、前職の会社よりもレベルが低く、条件も悪い会社に入社することになるので、当然、辞めたいという気持ちがすぐに芽生えます。しかし、ジョブホッパーの烙印を押されてしまうので、次は更に厳しい戦いになり、更にキャリアダウンする可能性が高まります。
これが、退職後に活動することによって引き起こされる悪循環です。
退職してすぐに活動を始め、早期に内定を取れば問題はない!と考える人もいるかと思います。確かにその通りなんですが、すぐに内定を取れる保証なんてどこにもありません。また、転職の目的を実現してくれそうな企業が、あなたの退職に合わせて求人を出しているとも限りません。
結局のところ、退職してから活動することに何のメリットもないのです。
- 企業からの印象が悪い(企業は働いていない人を評価しない)
- 面接で「退職した理由」を深く突っ込まれる
- 面接で「退職して何をしているのか」が問われる
- 早期決着の必要性に迫られる為、妥協を強いられる可能性が高い(ベストな求人が出るまで待てない)
- 内定が出ても足元を見られて低い条件が提示される
- 活動が長期化すると「他社が不採用にした人物」として疑いの目で見られる
- 活動が長期化すると、不安や焦りから内定獲得が目的へと変化してしまう
これが社会の現実なので、退職してから活動しようと考えている人はよく考えて欲しいと思います。
やむを得ず退職する人は、退職前の段階でエージェント(複数社)や転職サイトへの登録を済ませておき、職務経歴書などの書類も全て完成させておくことです。
退職後に即応募できる状態を整えておき、3ヶ月以内に転職先を決める覚悟で活動しましょう。ゆっくりするのは、内定を得てから次の会社に入社するまでの期間です。