私は、世の中に一般的に出回っている「転職理由」の半分以上は嘘だと思っています。自分の転職を正当化するための表面的な理由に過ぎず、本当の転職理由は自分の心の中に隠していると思うからです。
もっともらしい理由を語っている人でも、本当は「今の仕事から逃げ出したい」「働くことに疲れたので少し休みたい」なんて心の問題を抱えている人が多いのです。
例えば、給料が安いことを転職理由として語る人は多いですが、これ、従業員に対する還元率が極端に低い会社でない限り、今の会社で成果を出して昇進すれば解決できますよね。
会社というのは、「自社に高い利益をもたらしてくれる人」にはずっといて欲しい(他社に取られたくない)と考えるので、給料を上げるのが普通です。この事実は社会人として働く人ならば誰もが理解しているはずです。
つまり、本当の転職理由は給料ではなく、「今の会社(仕事)で成果を出せる自信がない」「昇進して部下を率いてやっていく自信がない」「プレッシャーから逃げたい」「会社のレベルについていけない」にあるわけです。
もちろん、全ての人がこれらのケースに当てはまるわけではありません。しかし、転職に臨む結構な割合の人が「自分だけが知る本当(逃げ)の転職理由」を抱えているのです。
ただ、逃げの転職理由というのは誰にも知られたくないものであり、転職市場では通用しないので表に出てきません。例えば、友人や家族に「何で転職するの?」と聞かれて、「この会社でやっていく自信がないから」とは決して言えません。
要するに、転職理由の本音は大部分が逃げであり、それは決してあなただけではないということです。だから、あなたが「自分の転職は逃げだと認識しているのなら、時には逃げても構わない!」ということをお伝えしたいのです。
ここでは、逃げの転職に対する考え方や行動指針をお伝えしていきます。
転職は再出発を可能にしてくれるもの!
転職は「新たな環境での再出発」を可能としてくれるので、「会社だけでなく、自分自身の考え方や行動を変えることができる」というメリットを持っています。
今回の転職が「逃げ」だと認識しているのなら、自分が何から逃げたのかを理解していますよね。であれば、次の会社では逃げた部分に立ち向かう行動を取り、少しずつ改善していけば良いのです。これが実現できれば、以前よりも成長した自分がそこにいるわけで、転職は成功です。
改善を決意した逃げの転職は、自分を成長させるための攻めの転職である!
逆に、転職しても考え方や行動を変えようとしない場合は、「転職して会社を変えても同じ」「逃げの転職をすると、同じ壁にぶつかった時にまた逃げたくなる」などの格言が当てはまります。実はこの格言は間違っていません。
だからこそ、逃げの転職をするのであれば、会社(仕事)だけでなく「自分を変えること」も必要なんですね。変化する覚悟を持っているのであれば、人生、時には逃げても構いません。
逃げるなら、早く逃げる!
逃げの転職をするのであれば、「とにかく早く逃げる!」ということも頭に入れておきたいですね。
転職は年齢を重ねるほどに「年齢相応の経験・スキル」が求められるので、転職の実現が困難になってきます。市場価値の高い人であれば年齢はあまり関係ありませんが、そうでない人は年齢を重ねるほどに選択肢が狭まり、誰もが避けたい業界や職種にしか道がなくなります。
だから、あなたが転職で会社と自分を変える覚悟ができているのなら、さっさと逃げましょう。転職することを決めているのに、行動しないことは時間の無駄です。
また、ぐずぐずしていると「状況がそれを許さない」なんて事態に陥ることも。たとえば、年齢を重ねると結婚して家庭を築く人が増えますが、守るものができると「逃げる」なんてことが許されなくなります。
だから、逃げることが許されている内に素早く動くことが大切なんです。
今回のあなたの転職が「逃げの転職」であったとしても、これを機に変化する意思を持っていれば何も問題ありません。諺にも「逃げるが勝ち」という言葉があるように、人生、時には逃げることも必要です。
今回の「逃げ」が結果的にプラスになるのであれば、それは「勝ち逃げ」ですからね。
逃げの転職にも限度はある!
逃げの転職をプラスに変える覚悟ができていれば、時には逃げても良いとお伝えしてきましたが、もちろん何度も逃げていいわけではありません。
転職に逃げてもいいのは基本的に1回、どんなに多くても2回までです!
実際、日本の社会は転職回数が多いことを良しとはしていません。だから、転職を重ねるほどに相手にしてくれる企業が減少し、年齢相応のキャリアが築けていないことも相まって、転職可能な会社の「質」は間違いなく低下していきます。
分かり易く言うと、「次第にブラックまがいの会社にしか相手にされなくなる」ということです。ここに行き着いてしまうと、会社自体に大きな逃げ出したくなる要素があるために、どんなに固い決意をしていようと「また逃げたくなる」のが常です。
だから、逃げていいのは基本的に1回だけです。そして、1度逃げた事実があるので、次はどんな壁にぶつかっても逃げずに立ち向かわなければなりません。要は、逃げるということを1度使ったので、もう使えないんだということ。この点もしっかりと理解ていおいて下さい。
これを理解せず、我慢できずに逃げまくっている人がいるからこそ、悪名高いブラック企業への流入がなくならないのです。好き好んでブラックに進んだと思いますか? 違います、そんな会社にしか相手にされなくなった結果なのです。
残念ですが、社会はこうして上手く循環しています...
社会人人生は一度切りで、やり直しはできません。
この悪循環にだけは飲み込まれないよう注意して下さい!
逆に、1度逃げの転職をしたとしても、次の会社で死ぬほど頑張って市場価値(経験・スキルなど)を高めると、次はキャリアアップを実現する転職が可能になります。是非ともここを目指して欲しいと思います。