今回の転職を機に「カメラマン」を目指したい!
学生時代からカメラが好きなので! 社会人になって写真が趣味になって! などの理由が高じて、それを仕事にしたいと考えている人もいるかと思います。
カメラマンが職業として成り立っている以上、転職でそれを志すことに問題はありません。しかし、ただ漠然と「カメラマン」になりたいとはいっても、簡単に実現できるほど甘くはないのも事実です。
ここは、カメラマンの仕事が何たるかをしっかりと理解し、その上で本当に目指すのかどうかを決めて欲しいと思います。
- カメラマンとは?
- カメラマンになるための方法
- カメラマンの収入と将来設計
- カメラマンの仕事内容
カメラマンが何たるかを知ることで、転職後の「こんなはずじゃなかった...」の発生を軽減できます。
1.カメラマンとは?
高性能なカメラを手に写真撮影を行う写真のプロです!
仕事にあたっては、写真の用途に沿った環境作りをした上で撮影を行います。依頼主は多種多様なので、普通では行けない場所に行けたり、会えない人に会える面白さがあります。
カメラマンになるのに資格は不要で、「報道写真」「商品写真(ものとり)」「本や雑誌に掲載する写真」「記念写真」など、多様な分野で活躍が可能です。
会社に所属しているカメラマンの場合、収入は安定しますが、サラリーは普通の会社員並み(下回ることも多い)になるのが一般的です。要は、高収入を期待するのは難しい仕事だということですね。
フリーの場合は、アシスタントの間は酷使されることが多く、収入も極めて低くなります。また、使用機材の運搬など、想像以上の重労働を課せられることもあります。但し、独立後は、やり方によって高収入が見込めます。
最近はデジタル化が進み、単に「写真が上手く撮れる」だけでは通用せず、フォトレタッチ(写真の加工)などの能力も求められています。
2.カメラマンになるための方法
カメラマンになるのに決まったルートはなく、各々の方法で基礎力(撮影技術)を身に付け、プロとなって収入を得ていきます。
- 独学
- スタジオアシスタント
- 弟子入り
独学でカメラ機材や写真撮影の基礎知識を付け、撮影を重ねる。プロとの比較や賞レースなどの応募を通して腕を上げていく。
フォトスタジオのカメラマンのアシスタントをしながら基礎力を付けていく。
著名なカメラマンのアシスタントになり、技を盗み、基礎力を付けていく。(自ら弟子入りを志願する必要があり、採用には運も必要。ほぼ無給で雑用まで幅広くこなす必要がある。)
カメラ・写真関連の業務経験がない未経験者の場合は、収入を得ながら基礎力を付けることができる「スタジオアシスタント」から始めるのが一般的です。但し、激務・薄給で辞める人が多く、「プロのカメラマンになるための下積みだ!」と考えられる人でないと耐えるのは難しいでしょう。
各々の方法で基礎力を付け、プロとしての道を歩みます。将来的にフリーを目指している場合も、一旦は会社員(スタジオ・広告代理店・新聞社など)としての道を進む人が大半です。会社員として仕事をしながら、プライベートで撮影を行って作品を作ったり、人脈を広げていきます。
- スタジオカメラマン
- 会社員
- 独立(難易度激高)
フォトスタジオに入社し、プロのカメラマンとして仕事をする。(アシスタントから昇格で入社するケースが多い)
広告代理店(広告用の写真を撮影)、新聞社(報道写真などを撮影)に入社し、会社から与えられた仕事をこなす。
独立してフリーのカメラマンとして生計を立てていく。これまでに培った人脈や営業活動を通して仕事を受注していく必要があり、写真撮影の技術はもちろんのこと、高い営業力や依頼主との折衝力が求められる。
3.カメラマンの収入と将来設計
カメラマンの収入は決して高いとは言えず、会社員カメラマン(100万円~400万円)、フリーカメラマン(0円~2000万円)くらいに落ち着きます。最高額である「会社員400万円」「フリー2000万円」は、本当に限られた極一部の人だけと認識しておきましょう。
基本的に低収入であるため、フリーを夢見る人も多いのですが、フリーで生計を立て続けるのは至難の業です。ここに、職業としての「カメラマン」の厳しさが存在します。そして、以下のように人生が分岐していくのが「カメラマン」という仕事です。
- 安定の社員カメラマンコース
- フリーの売れっ子カメラマンコース(成功は限られた一部の人のみ)
- フリー転身に失敗したカメラマンコース
広告代理店・新聞社などの社員カメラマンとして定年まで安定したカメラマン人生を送る。
独立してフリーのカメラマンとして信用を得て大金を稼ぐ。会社員のカメラマンが月収20万円のところ、フリーの有名カメラマンともなれば、1回の撮影でそれくらいは稼ぐことも。
営業力や人脈のないフリーのカメラマンの場合、生計を立てるだけの仕事を受注できず、フリーで生きていくのを諦めます。フリーは非常に魅力的ですが、「何年にも渡って仕事を受注し続ける」というのが非常に難しい。
あなたが将来どこを目指すのか、これによってカメラマンとして生きていく難易度が激変します。フリーを目指す場合、それ相応の覚悟と準備、そして技術力、営業力、人間力が求められます。
4.カメラマンの仕事内容
カメラマンの日常は以下の流れで行われます。
- 仕事の受注
- 要望をヒアリング
- 機材準備
- 撮影場所へ移動
- セッティング
- 撮影
- 編集
- 納品
会社員であれば、会社届いた仕事の依頼が割り振られる。フリーの場合は、営業を行い、自分で仕事を受注するところから始まる。
依頼主と、撮影内容、撮影用途、撮影場所、報酬、レタッチの必要性、納品形態などを詰める。
依頼内容に合わせた機材を準備する。
準備した機材と共に撮影現場へ。
機材を適切な場所に設置し、照明などをテストする。
撮影対象が人の場合、コミュニケーション能力も求められる。
必要に応じ、写真に加工を施す。
依頼主に納品する。
仕事内容を見てもらうと分かる通り、「写真を撮る」というのはカメラマンの仕事のほんの一部に過ぎません!
その為、「写真を撮るのが好きだから」「趣味を仕事にしたいから」といったレベルの人がカメラマンを志すと、大抵は失敗に終わります。カメラマンというのは、やはり「仕事」なのです。
また、プロのカメラマンとして生計を立てるには、写真撮影の技術だけでなく、人間力も重要となります。様々な人と一緒に仕事をするため、人間として面白ければ、コミュニケーションが円滑に進み、それが、次の仕事に繋がるからです。特にフリーの場合は必要不可欠な要素ですね。
以上、カメラマンの4つの実態に触れてきましたが、あなたはどう感じたでしょうか?
この実態を知った上で、「それでも転職してカメラマンになりたい!」 というあなたはしっかりと現実を理解しており、覚悟も決まっているようです。是非とも、一流のカメラマンを目指して欲しいと思います。
カメラマンは、未経験からでも就けない職ではありません!
逆に、現実を知って尻込みしてしまった人は、カメラ(写真撮影)を仕事にすることに対して再考をオススメします。更に深くカメラマンの仕事を調査研究し、その上で結論を出して下さい。