転職での「給料アップ」はリスクが高い!
こう言うと、多くの人は「なぜ?」と感じるかと思います。むしろ、転職は給料をアップするために行うのでは?という意見の人もいるかもしれません。現に、転職して給料アップを実現している人もいますし、給料が上がること自体に何の問題もありません。
ただ、今の時代、企業もよほどの事情がない限り、給料を上げてまで中途採用者を募ることはありません。
実際、採用の現場では、面接で「今、給料をいくらもらっていますか?」と尋ね、そこで返ってきた答えとほぼ同じ金額を提示するのが一般的です。企業によっては、求人に記載されている最低額を提示することが規定となっているところもあります。
求職者の前職の給料が業界水準よりかなり低く、「既存社員よりも圧倒的に給料が安くなる」といった場合には流石に給料を上げますが、そうでなければ現状維持というケースが大半です。特に、前職の給料が高かった場合は、転職すると給料が下がるのが普通です。
こうした状況を踏まえると、「給料は現状維持で良しとする!」と考えるのが今の時代に合った現実的な考え方なんですね。その為、リスクの低い転職を実現する為には、この考えで転職に臨むのが最良の選択となります。
転職時の給料アップに潜むリスク
転職の給料アップに潜むリスクについて詳しく解説します。
企業が採用をある程度固めた段階で求職者が給料交渉をしてきた場合、企業には予算的な余裕がない為に厳しい状況に追い込まれます。それは、既存社員に対する昇給ができていない状況の中で、中途採用者にだけ特別に給料を上げられない事情が社内には存在するからです。
たとえば、「社内昇進で課長になった人よりも、今回、中途で採用する人の方が高い給料を希望している。これを受け入れてしまうと、社内規定でいうところの次長クラスの給料になってしまう」といった事態が起こるわけです。こうした事情がある中で、どうしてもこの人物を採用しなければならないとしたら、やむを得ず希望を飲むこともあります。
ただ、これが「近い将来に発生する様々な問題の火種」となることがあるんですね。
実際、社内水準を超えた高い給料の人を採用した場合、入社時点から、その人に対する期待値はとてつもなく高くなります。高い給料を得ているのだから、「短期間で成果を出してもらわないと困る!」「高い成果を出して当然だ!」といったように、最初からかなり厳しい目を向けられることになります。
また、既存社員からすると、「なぜ、まだ仕事で成果を出していない人物の給料が自分たちよりも高いのか?」「以前から頑張って働いている自分たちの給料を上げるべきでは?」といった疑問が浮かぶわけで、それが不満となって表面化することもよくあります。
それ故に、高い給料を要求して入社した場合は、並のパフォーマンスでは許されなくなるといった現実に直面するんですね。
ここで誰もが納得するパフォーマンスを早期に出せればいいですが、逆の結果となった場合、既存社員や会社から非常に厳しい目を向けられることになります。現に、給料アップ転職を実現したはいいが、入社先のプレッシャーに耐えきれずに辞めていく人も多いですからね。
給料アップ転職を成功に導くのは決して簡単なことではない!
この事実を肝に命じて転職に臨む必要があります。「内定を得て、高い給料も勝ち取った!」と浮かれていると、入社直後から大きなリスクを抱えることにも成り兼ねません。転職の成功は、自分の望む条件を勝ち取ることではなく、「入社後の未来」にあることを忘れないで下さい。
たとえ給料は据え置きでも、自身のキャリアにプラスとなるような経験ができる仕事(会社)を選ぶことが、転職の成功に繋がります。だから、転職を機に給料アップを実現するのではなく、新しい会社に入って活躍したことをきっかけに、評価と一緒に給料をアップしていくという発想を持つことをオススメします。