「あなたの持つ経験・スキルは思いがけない業界から求められている!」
転職先を検討する時、大抵の場合は同業界を第一候補として考えるかと思います。業界の知識や経験があれば有利ですし、内定も得やすいことは確かでしょう。ただ、同業界だけに絞ってしまうと選択肢が狭まりますし、また同じような悩みや不満を抱えてしまう可能性も高くなります。
また、職種を変える転職は難しいですが、業界を変える転職は難易度もそれ程高くありません。ですから、選択肢を広げる意味でも充分に検討の余地はあるんですね。
ここでは、そんな「経験・スキル・こだわり」を上手く活かして異業界に転職した成功事例をご紹介します。
私が転職の相談を受けたNさん(30代後半・女性)は、これまでエンターテインメント業界に身を置き、イベントのプロデュースやマネジメントを手掛けてこられました。しかし、やむを得ない事情で転職を考えなければならなくなりました。
Nさんは当初、エンターテインメント業界を中心に求人を探していましたが、納得できる会社がなかなか見つかりません。そこで更に対象業界を広げようと、Nさんの仕事に対する思いやこだわりについて、さらに深くお話を聞きました。その上で私が選択肢の一つとして提案したのが「介護施設の施設長」の求人です。
これまでの業界とのギャップにNさんは戸惑い、初めは抵抗感を示していました。しかし、その仕事がどんな役割や意義を持ち、日々どんな取り組みを行うのかを詳しく知るうちに、「自分の経験が活かせるのではないか」「自分が大切にしたいこだわりにマッチしている」と気付き、応募を決意されました。
Nさんが昔からこだわり続けてきたのは「人々が感動し、楽しいと思えるものを創り出す」ということです。「入居者がいかに毎日楽しく笑顔で過ごせるかを追求し、その空間を創り上げるのはやりがいがある。私がこれまで取り組んできたことと同じだ」―Nさんはそう考えたんですね。そして、イベントでキャストやスタッフをとりまとめてきた経験は、施設で働くスタッフや介護士などのマネジメントにも活かせると評価され、採用に至ったんです。
転職で応募先を選ぶとき、多くの人が業界や職種、企業の知名度や企業規模に目を奪われがちです。
そこで、少し視点を変えて「自分が本当に求めているものは何か?」「自分はどんな気持ちで働いていきたいのか?」「転職で何を手に入れたいのか?」「自分の経験はどんなことに活かせるのか?」を軸に考えてみてはどうでしょうか。そうすると、今までは視界にすら入ってこなかった業界や企業、考えてもなかった新たな選択肢を見出せるかもしれません。