「転職して後悔する人があまりに多すぎる」
- 転職して良かった 10%
- 転職前とあまり変わらない 60%
- 転職して後悔している 30%
これが転職した人の転職後の想いです。
なぜ、こんな残念すぎる結果になってしまうんでしょうか?
私は、その原因として「転職に対して良いイメージを持ちすぎている」ということがある様に思います。
もちろん、今抱えている問題が解決し「新たな職場で充実した日々を過ごしていること」を想像することは悪いことではありません。それを実現させることが転職の目的ですから、ある意味当然のことでもあります。
ただ、世の中に完璧な会社は存在しませんし、全ての人が納得して気持ち良く働ける仕事(職種)も存在しません。これが事実であるからこそ、良いイメージだけで転職することは危険なんですね。
ここでは、そんな転職に対する「良いイメージ」をぶち壊し、その裏側に存在する「悪いイメージ」をお伝えします。
「悪いイメージが現実となる可能性があること」
「悪いイメージが現実となる可能性を軽減する為に全力で活動すること」
「悪いイメージを含めてどんな結果でも受け入れる覚悟を持つこと」
転職後の後悔を防ぐ為、これらの現実と行動意思を持って転職に臨んで下さい。
それが結果的に「後悔しない転職」に繋がるはずです。
- 転職すれば問題(不満)が解決される
- 転職すれば得たいものだけを得ることができる
- 転職すれば理想の会社に就職できる
- 転職してやりたい仕事ができれば、充実した日々が待っている
- 転職して会社を変えれば、仕事そのものが変わる
1.転職すれば問題(不満)が解決される
これは転職の目的と言えるものですが、転職は「今の会社の不満を改善するために行う」というのが一般的です。改善を目指して行動することは間違いではありません。ただ、転職という行動を起こせば、それが必ず実現するとは思わないことです。
「あなたが今の会社で抱いている不満は、大抵別の会社でも発生している問題である」
まず、この事実をしっかりと頭に入れておいて下さい。
転職の原因となった「問題(不満)」があなたの会社唯一であることは極めて稀です。
つまり、転職して会社を変えても「また同じ問題(不満)を抱える可能性は大いにある」ということです。
特に「人間関係」や「職場環境」など、入社してみないと分からない問題で転職する人は要注意です。
更に、最悪のケースは「今よりも状況が悪化する可能性もある」ということです。
これが転職の現実ですから、転職すれば問題(不満)が解決されると安易に考えないことです。
2.転職すれば得たいものだけを得ることができる
転職を考え出すと「手に入れたいもの」にばかり目が奪われてしまいます。
その結果、転職後に失ったものの大きさに気付いて後悔するんですね。
「転職は得るものがあれば、失うものがある」
これは転職においては常識と言えるもので、ほぼ全てのケースで当てはまると考えておいて下さい。
まず、転職すれば「今の会社の良いところを失う可能性がある」ということを忘れないで下さい。
転職後を想像する時、「今の会社の良いところは残しつつ、問題(不満)も解消される」と都合良く考えてしまうんですが、現実はそう甘くはありません。
ですから、転職を考え始めた段階で「転職して得たいものは、今の会社の良いところを犠牲にしてでも手に入れたいものなのか?」を自分自身に問うておく必要があります。そして、転職すると決めたのなら「失うものがあること」を覚悟して臨む必要があります。
最も分かり易い例で説明すると、転職の目的が「給料UP」だとします。
給料が高い仕事(会社)は、「業務量が多く激務」「休みが少ない」「求められるレベルが高い」ということが考えられます。
ですから、多くの給料を求めるのならば「楽な仕事で休みも多く給料も高い」を求めてはいけないということです。何故なら、これらの要素は同じ条件下では成り立たないからです。
つまり、給料UPを目指すなら、「残業が増えて自由な時間が減る」「休みが減って家族や友人と過ごす時間が削減される」「精神的プレッシャーが増える」などの発生を想定しておく必要があるということです。そして、「それを受け入れてまで給料UPを実現したいのか?」を自分自身に問うておく必要があるということです。
これをしていない人が多いから、転職後にそれに気づいて後悔するんですね。
得るものにばかり目を向けている結果であり、何でも手にできると甘い考えで転職に臨んでいる結果です。
あなたが「転職で得たいもの」の対極に位置する「失う可能性があるもの」にも目を向けましょう。
3.転職すれば理想の会社に就職できる
「従業員満足度が高く、誰もが充実した気持ちで働いている会社」
そんな理想の会社に就職できれば最高ですし、それを夢見ているかと思います。
でも・・・。
そんな会社は存在しませんから、求めないようにしましょう。
また、仮に存在したとしても、そんな素晴らしい会社は人が辞めませんから中途採用者は募っていません。
中途採用者を募っている会社は「誰かが不満を持って辞めた会社」であることがほとんどです。
更に、理想に近いが会社が存在したとして、そんな会社はとてつもない倍率となりますから、内定を採るのは至難の業です。
悲しいかな、これが転職の紛れもない真実です。
また、どんな会社にも「自分の意に解さないところ」は必ずあります。
それが他人が作った会社で働くということであり、様々な考えの持つ人が集まって働くということです。
転職があなたの理想を全て実現してくれることはありません。
完璧な人間がいないのと同じで、完璧な会社も存在しないからです。
これを頭に入れて転職に臨みましょう。
今よりも良い会社に転職する、これだけでも非常に大変なことですから。
4.転職してやりたい仕事ができれば、充実した日々が待っている
これは若年層の転職希望者に多いのですが、「今と違う仕事がしたい」「こんなことをやる為に働いているんじゃない」「もっとやりがいのある仕事がしたい」などの理由で転職する人が陥るパターンです。
「やりたいを実現できれば、充実した日々が待っている」
こんな風に転職を捉えているんですが、実際にやってみると「イメージと違う」「こんな仕事だと思わなかった」「やりがいがない」と後悔するパターンですね。
まず、何よりも知っておいて欲しいことは「やったことのない仕事に対する”やりたい”は単なる憧れにすぎない」ということです。仕事というものは、実際に体験することでしかその本質を掴むことはできません。つまり、「体験したこともない仕事に対するイメージが、その通りであるはずがない」ということなんです。
また、やりがいについて知っておいて欲しいのは、「やりがいは会社や仕事に求めるものではなく、自分自身で見出すものである」ということです。ここでは詳しく書きませんが、これを勘違いしてはいけません。会社や仕事(外的要因)によって与えられたやりがいは長続きしません。(詳しくは「転職におけるやりがいについて深く考えてみませんか」にて解説しています)
転職してやりたいを実現したとしても、「イメージと違う」「こんな仕事だと思わなかった」「やりがいがない」と感じる部分が出てくることは当然であり、それも含めて全てを受け入れてやっていく覚悟が必要だということです。
この覚悟を持っていないから、自分のイメージから外れるとすぐに違和感を覚えます。
良いイメージしか抱いていないから、負の要素に遭遇するとすぐに後悔します。
その結果、理想を求めて転職を繰り返すことになります。
転職後に感じる違和感を軽減したいのであれば、”やりたい”と感じている仕事の「負の部分も含めて徹底的に情報収集すること」が必要です。そして、その「負の部分」を受け入れてでも”やりたい”を感じるかを自分に問うてみることです。ろくに調べることもせず、良いイメージや憧れだけで転職してはいけません。
また、あなたが抱く理想のイメージは負の部分をも含めた先に存在することが多いです。
やりたい仕事を始めてすぐに理想通りにいくことはまずありませんから、忍耐力も必要です。
5.転職して会社を変えれば、仕事そのものが変わる
転職すると会社が変わります。
会社が変われば職場環境や一緒に働く人が変わります。
それがプラスの方向に働けば充実感を得られるでしょう。
転職して間もない頃はその新鮮味が刺激となって楽しくも感じます。
ただし、人はすぐに環境に慣れますから、新しさから得られる充実感は長続きしません。
また、転職して会社(職種)を変えてもやることは「仕事」であるわけです。
そして、仕事には「仕事であるが故の厳しさ」が必ず存在します。
つまり、転職では「仕事そのものに関する問題(不満)」は解消することができないんですね。
例えば、「仕事が嫌い」「仕事から逃げたい」「仕事したくない」などが転職理由は解決できず、それが転職理由の本音である人は、後に同じ問題(不満)で頭を悩まします。
私は、時に転職が「逃げ」であっても構わないと思います。
ただ、逃げ続けて転職を繰り返すと、行きつく先は「誰もが避けたい会社(仕事)」となります。
日本の社会は転職を繰り返す人に優しくありませんから、転職のチャンスというのは実は多くありません。
つまり、「仕事」そのものに関する問題(不満)で転職する場合は、会社を変えるだけでなく、仕事に対する考え方も一緒に変える必要があるんですね。
環境が大きく変わる転職はそれができる大きなチャンスでもあります。
そのことを意識して転職に臨んで欲しいと思います。
このケースに限らず、転職して変えなければならないのは「会社でなく自分である」ということが意外に多いです。
すぐに不満を抱いてしまう自分。
すぐに逃げてしまう自分。
仕事に対して甘い考えを抱いている自分。
会社や他人を言い訳に使っている自分。
自らの考えを正当化して転職を繰り返す自分。
そんな「自分」が存在していないかを心に問うてみることも大切です。
最後に
転職の良いイメージの裏側に存在する、悪いイメージをお伝えしてきました。
私は何も「転職はしない方が良い」と言いたいわけではありません。
ただ、勇気を振り絞って転職というリスクの伴う行動をしたにも関わらず、その結果が「後悔」というのだけは避けて欲しいんですね。
その為には、あまり語られることのない「負の部分」も知っておく必要がありますし、それを受け入れる覚悟を持って転職に臨んで欲しいわけです。
事前に知っておけば、それが表面化しても動じることはありません。
それが表面化した時、どう行動するかを決めていれば対処することも可能です。
負の部分も含めて受け入れいる覚悟を持っていれば、後悔することはありません。
後悔しなければ、転職という行動を通して経験したことは人生で必ずプラスとなります。
強いてはそれが将来的に「転職して良かった」に繋がります。