転職する上でエージェントは有効な手段の一つと言えますが、利用するにあたっては「エージェントが何たるか」を理解しておく必要があります。何故なら、これを怠るとエージェントが単なる邪魔な存在になってしまい、最悪の場合、転職の失敗を招く危険性も持ち併せているからです。
ここでは、転職エージェントを利用する上で持っておくべき知識や考え方についてお伝えしていきます。
- 求職者とエージェントの目的は全く違う
- 裏でお金が動いている事実を忘れてはいけない
- あくまでも主役はあなた
- 感情移入してはいけない
- 内定確率がアップするわけではない
- 実はキャリアアップは実現しにくい!?
- 転職コンサルタントも所詮人間である
転職エージェントを賢く利用して転職を成功させましょう!
1.求職者とエージェントの目的は全く違う
あなたが転職する目的は「不満を解消すること」や「望みを実現すること」かと思います。つまり、転職目的を実現してくれるだろう会社に入社することが重要で、転職してからが更に大切になってきます。逆に、エージェントの目的は求職者に企業を紹介し、入社が決定することで得られる「コンサル料」を獲得することです。
つまり、あなたがどんな会社に入ろうが、入社後にどうなろうが、エージェントからすると「知ったこっちゃない!」ということなんですね。極端な言い方ですがこれは真実で、「両者は目的が全く違う」ということを表しています。
これは、転職エージェントがあなたのレベルに合わせた「内定を勝ち得るだろう求人しか紹介してこない」ことからもよく分かります。もちろん、このマッチングこそエージェントを利用するメリットでもあるんですが・・・。
この事実から大切なことをお伝えすると、エージェントの紹介求人はあくまでも「数ある選択肢の内の一つである」という認識を持って利用すべきだということです。紹介企業が優良企業である保証もなければ、あなたが本当に望むような企業かも分かりません。
それ故に、他の媒体を利用した活動と同様に徹底した企業研究が必要で、あなたが納得できなければきっぱりと断わる必要があります。とにかく、「自分の意思を貫くこと」がエージェントを利用するにおいて何よりも大切です。
2.裏でお金が動いている事実を忘れてはいけない
エージェントが提供する転職支援サービスはビジネスですから、当然、お金の流れが発生します。あなたが就職することで、紹介先企業からエージェントに「想定年収の20~30%前後」のコンサル料が支払われます。
つまり、求職者はある意味「商品」であり、それが故に、担当コンサルタントはあなたを就職させようと必死に動いてくれるわけです。
また、コンサルタントも提案型の営業職である為に、会社から採用人数のノルマを背負わされているのが普通です。その為、「報酬目的の非マッチング企業の紹介」や「内定企業への入社促進」が行われる可能性もゼロではありません。
これが転職エージェントの一つの側面ですから、このような事態に直面しても「ビジネスだから仕方がない!」と軽く受け流して下さい。そして、あなたの意思を貫いて下さい。
納得できない求人は全て断る!
内定が出て急かされても、他に本命があるのなら答えを急がない!
こんな心がけが大切です。
3.あくまでも主役はあなた
転職して新たな会社で出発するのはあなたであって、コンサルタントではありません。ですから、コンサルタントにどう思われようがあなたの意思を貫くことが大切です。提案された求人や内容に対して深く考え、きっぱりと「YES」「No」を伝えましょう。
自分の意思を貫かないと、後悔する転職となってしまう可能性があります。
主役はあくまであなたであって、コンサルタントではありません。あなたの転職を成功させてくれるサポート役としてエージェントを利用しましょう。もし、あなたの意思を貫くことで不利益を被ったり、態度が変わるようなら、コンサルタントの変更要求を出すか、別のエージェントを利用することで対処しましょう。
4.感情移入してはいけない
エージェントに登録するとあなたにコンサルタントが付き、様々なサポートをしてくれます。当然、人と人の付き合いになりますから、そこに「情」が生まれます。良いコンサルタントであればある程にそれは強くなります。
そんな時に陥りやすいのが、「情」に流されて誤った決断をすることです。
- あの担当者が良い企業だと言っているし
- 親身な支援でお世話になったし
- 担当者の元で転職先を決定して恩返ししたい
こんな感情が誤った判断を誘発する危険があるんですね。
だから、ここは心を鬼にして対応して下さい!
コンサルタントとの関係性はなしに、「本当にこの企業で良いのか」「自分の望みを実現してくれる会社なのか」「転職サイトでこの求人を見つけていたら応募してたか」「コンサルタントの提案の意図は何なのか」それを真剣に考えて対応することが大切です。
転職が終わればコンサルタントとの関係は一切なくなります。
そして、新たな企業で働いていくのはあなた自身です。
自分のことだけを考えて正しい選択をして下さい!
5.内定確率がアップするわけではない
エージェント経由で応募すると、応募書類の添削や面接対策を行ってくれるので「内定が得やすい!」という情報が一部見受けられますが、決してそうではありません。
エージェント経由で採用した場合、企業は100万円以上のコンサル料を支払わなければなりません。それ故に、企業の見る目は厳しくなりますし、求めている人材像にマッチしなければ採用されません。つまり、エージェントを利用すれば内定確率がアップするというのは安易な考えです。
転職サイトだろうがエージェントであろうが基本的には同じです。
6.実はキャリアアップは実現しにくい!?
キャリアアップをはかる転職は、エージェントを利用したからといって実現しやすいわけではありません。
まず、上記でも記載した通り、エージェントはあなたの市場価値に合った求人しか紹介してくれないからです。それ故に、あなたの市場価値が高ければキャリアアップは可能ですが、そうでない場合は、今と同じレベルの企業や給料に落ち着くことが多いです。
また、エージェントは営利ビジネスですから、求職者の「高望み」に対しては冷たいです。何故なら、内定を得る確率が低く、支援しても売上に繋がる可能性が低いからです。
コンサルタントは数多くの転職者を見てきていますから、あなたのキャリア・実績・能力を見れば大体は判断できます。エージェント側にとって、内定が難しい企業を勧めるメリットはありませんし、お金に繋がらないことに時間を割く余裕もないんですね。
つまり、エージェントを利用することでキャリアアップ転職が実現しやすいというのは正しいとは言い難いことになります。何の媒体を利用しようが、こればっかりはあなたの市場価値です。
7.転職コンサルタントも所詮人間である
転職コンサルタントも一人の人間であり、エージェント利用は人対人の付き合いとなります。ここにもエージェントを利用に関する注意点があります。それは、「あなたもコンサルタントに対して敬意を払って対応しなければならない」ということです。
いくらあなたがお客様の立場であろうと、「横柄な態度」「提案(求人)の無視」「やる気の無さ(転職意思が感じない)」を醸し出すような人間であれば、最高のサービスを受けれない可能性があります。これは人と人の関係である以上は当然のことです。
あなたが逆の立場でも同じはずで、「態度や対応の悪い人間」と「転職意思が高く、礼儀正しく感じの良い人」がいたとしたら、どちらの為に一所懸命働こうと思いますか。100%後者ですよね。これはコンサルタントでも同じでから、エージェントを利用する際は以下の点を意識しておいて下さい。
- 丁寧な受け応え(きっちり敬語を使うなど)を行う
- 連絡が来れば、可能な限り早くレスポンスを返す
- 提案に対しては断る場合もきっちと伝える(無視しない)
- コンサルタントに対して嘘を付かない
簡単に言うと「社会人としてのマナーを守りましょう!」ということですね。
コンサルタントにとって、早いレスポンスは非常に有難いことですし、無視せず意思を伝えることも大切です。あなたの考えを伝えることで、新たな可能性を探ってくれます。無視していると「何を考えているのか分からない」「転職意欲がない?」「他の媒体で転職先が決まった?」と思われて後回しにされる可能性があります。
何度もお伝えしますが、エージェントの目的はあなたを転職させて報酬を得ることです。つまり、その可能性が高い人の為には積極的に動いてくれますが、そうでない人の為には動いてくれません。つまり、極端な言い方になりますが、「コンサルタントにとって良い商品であること」が重要なんですね。
エージェントを最大限に利用しようと思うのならば、演技でも何でも良いのでこのように振る舞うことが大切です。
また、面談等では転職理由や望みを素直に打ち明けましょう。本当のことを伝えることで、あなたの考えを反映した求人を紹介してくれます。つまり、あなたの望む結果が得やすくなるということです。
エージェントは味方ですからそこに嘘は必要ありません。
エージェント利用で失敗しない為の注意点は、エージェントが何たるかを表したものです。
これらを把握せずに利用してしまうと、上手く口車に乗せられてしまったり、納得できない企業に入社する羽目になってしまうんですね。
裏を返せば、エージェントを理解して利用さえすれば、そこには「メリット」しかないということです。上手く賢く使えば必ずあなたの転職をプラスに導いてくれるものです。