転職エージェント経由で内定を取ると、入社前に「給与交渉」ができるケースが結構あります。エージェントは求職者の入社段階の給与に応じて成功報酬が入るので、あなたが「もう少し欲しい、〇〇円貰えるなら入社を確定させる」と言えば、利害関係が一致するので基本的には協力してくれます。
一般的に、給与交渉を成功させるためには「あなたの市場価値 ≧ 要求する給料」の公式が成立していることが前提で、かつ、企業側が「給与を上乗せしてでも採用したい」と考えていることが必要です。その為、自身の市場価値をしっかりと理解していないと、交渉したことによって不利益を被る可能性があるのです。
個人で交渉を成立させるのは簡単ではなく、一定のリスクも存在する!
これが実情であることを考えると、転職エージェントが「給与交渉」に強いのは事実であり、個人で行うよりもリスクが低いというのは間違っていません。
給与交渉には「根拠」が必要不可欠
転職エージェントが「給与交渉」に強いとは言っても、何の根拠もなしに「もっとお金が欲しい」と伝えるだけでは協力は得られません。また、そんな状態で給与の上乗せを要求すると、転職先のあなたに対する心証を悪くするだけです。
- 何故、その金額を要求するのか
- その金額を要求するに見合った市場価値を持っているのか
給与交渉の成立には、ここが何よりも重要となってくるのです。
たとえば、エージェントからすると「前職の給与や、他の内定先の会社が提示した給与からすると、この方の市場価値はこれくらいです。だから、このくらいは貰わないと厳しいです」と言えるだけの根拠が欲しいのです。給与交渉を行う際は、担当エージェントとしっかりと作戦会議をして下さい。
給与交渉を成立させられるか否かは、エージェント個人の力量にも大きく左右されます。
実際、「誰に、何を、どのタイミングで持ち出せば応じてくれるのか」といった交渉の勘は、5年、7年、10年と経験を積んだエージェントクラスでようやく出来るようになります。なので、エージェントを頼れば給与交渉が上手くいくとは単純に考えないことです。
もう一つ、エージェント経由の給与交渉で注意するところがあります。
エージェントの中には、「〇〇さんならもっといけますよ!もっと強気で交渉しましょう」などと言って、給与アップの交渉をガンガン煽ってくる人もいます。
その煽りに乗ってしまい、自分の能力以上にお金を積ませたときは、交渉が成立したとしても、入社後にあなた自身が地獄を見ます。何故なら、給与に見合った実績が求められるからです。転職後のことを考えず、「とにかく給与アップ」と考えていると、足元をすくわれる恐れがあるので注意して下さい。
エージェントが交渉を煽ってくる理由は、ただ単純に「自分が受け取る仲介手数料が上がるから」です。求職者の転職後を考えない残念なコンサルタントもいるので注意しましょう。
兎にも角にも、給与交渉は個人で行うよりも、エージェントを仲介した方が成立させやすく、リスクも少ないのは確かです。今回の転職で「譲れない給与ライン」をお持ちであるならば、エージェントを頼ってみるのも一つの手です。