転職するために退職を申し出ると、大抵の場合は「慰留」されます。会社にとって必要な人材となっていれば尚更です。
- もう一度冷静になって考え直してみないか?
- 一度腹を割って話し合おう!
- 何が不満なんだ?給料を上げることを考えてもいい!
- 次回の辞令で希望の部署に配属されるよう取り計らおう!
社会人として働いている身として「慰留される」ということは嬉しいことですし、それが本気の慰留であり、更に好条件を提示されようものなら心が揺れるのが人間心理です。でも、一度退職を言い出した手前、慰留に応じることはおすすめできないというのがここでのお話しです。
- あなたのことを考えた慰留とは限らない
- 一度退職を申し出たことで不利益を被る可能性がある
- 転職したいという気持ちは絶対に戻ってくる
それぞれの可能性について詳しく見ていきましょう。
1.あなたのことを考えた慰留とは限らない!
転職(退職)を申し出たことで慰留されると、「自分は優秀なんだ」「会社に必要なんだ」と勘違いしがちですが、これはあまり真に受けない方がいいです。
何故なら、基本的に上司(会社)というのは誰に対しても慰留するものだからです。内心は「別に辞めても構わない」と思っていたとしても、本音を隠しつつ形だけは慰留するのです。
また、上司からの慰留は、一見あなたのためを想ってのことのように感じますが、実は「辞められると業務が滞る」「自身の負担が増える」「目標が達成できない」など、上司自身の不利益につながるからといった理由であることも多いです。
もちろん、社会人経験が豊富な「社会の現実」をよく知っている上司が、あなたのためを想って慰留してくれることもありますが、そんな中にも「自分自身の不利益」が見え隠れします。
会社からしても、あなたが抜けたことで採用活動をしなければならない可能性があります。求人を出すのにもお金が必要なわけで、採用できたとしても一から育てないといけません。この負担を考えると、やっぱり慰留したくなりますよね。
要するに、慰留というのは、決してあなたのためだけではないということ。この事実をしっかりと認識しておく必要があります。
2.一度退職を申し出たことで不利益を被る可能性がある!
一度退職を申し出るという行為は、悪い言い方をすると、会社や仕事に対して一種の裏切り行為となります。そのため、慰留されて退職を踏み留まったとしても、「一度会社を裏切った人間」「また裏切る可能性のある人間」というレッテルを貼られます。
このレッテルを貼られると、会社内での評判は下がり、昇進・昇給にも影響を与え、今までと違って会社に居づらくなるなんてことも。まして、慰留に応じる代わりに好条件を掴み取っているとしたら、同僚から「退職を申し出た者勝ちじゃないか」なんて冷ややかな目で見られます。
結局、退職を申し出たことはマイナスにこそなれど、プラスには働きません。だから、一度退職を申し出たのであれば、自分の意思を貫くことです。
3.転職したいという気持ちは絶対に戻ってくる!
上司から熱い言葉をもって本気で慰留されたとしたら、「必要とされている」「もう一度頑張ってみるか」なんて気持ちにもなります。そして、慰留に応じて会社に残ると、一時は仕事が今までと違ったものに感じられ、やる気も溢れ、やりがいも感じます。
でも、実はこれ、慰留されたことで一時的に心が高揚しているだけなんですね。
人間の持つ「心の高揚」なんてものは一定期間経過すると冷めてくるので、結局、以前と同じ日常が必ず戻ってきます。つまり、あなたが「転職したい」と感じていた日常が戻ってくるのです。
でもこれは当たり前のことで、あなたが会社に残るという選択をしたとしても、転職を決めた原因は解決されていないからです。
そして、たとえ「転職したい」という気持ちが戻ってきても、一度慰留に応じた手前、「やっぱり辞めます」なんてことは簡単に言えないわけです。結果、慰留に応じてしまったことを後悔するんです。
結局、一度退職の旨を伝えてしまうと、どれだけ熱心に慰留されようが、どれだけ好条件を提示されようが、慰留に応じること自体がマイナスに作用する可能性があるということなんですね。
この事実をしっかりと認識し、自分の意思をしっかりと持って退職を申し出て下さい。
もちろん、会社に残るという選択がプラスに転ずることもあるので、熟考の末に「慰留に応じる」という決断をしても問題ありません。ただ、デメリットが表面化する可能性をしっかりと考慮し、それ相応の覚悟を持って応じることです。
一生この会社でやっていく!
自身の申し出を覆す以上、これくらいの覚悟が必要です。