「課長ができます!」
「部長をやってました!」
「マネジメントできます!」
40歳以上の管理職経験者の中にはこのような切り口で転職活動に臨む人がいますが、これは「的外れな考え」であることを認識しておく必要があります。何故なら、「管理職として現場から離れている期間が長い(3年以上)人は、転職市場で受け入れられない」という現実があるからです。
40歳以上の転職希望者に共通しているのは、ある程度自分の職歴に自信を持っていることです。約20年の経験があるわけで、給料もそれなりに貰っているので当然のことだと思います。もちろん、これまでに培った豊富な経験は素晴らしいもので、誰もが簡単に手にできるものではありません。
ただ、この経験に普遍性があると考えている場合、それは完全に間違いです。
基本的に、日本の企業はジェネラリストを求める傾向にあって、総合職という名の下で人事異動を繰り返し、幅広い職種を経験し、やがて管理職となって現場から離れていきます。そうすると、「現場感はないが、肩書はある」「仕事量はないが、給料はもらっている」という状態に陥るわけですが、転職市場では求められていない人材となります。
中途採用を行う企業にとって重要なのは、「現役バリバリで活躍してくれるかどうか」です。それ故に、経験や肩書きを「自分の絶対的な価値」と勘違いして転職に臨むと失敗する可能性が高くなるんですね。また、年功序列で給料が支払われている企業の場合、「現在の給料 = 現在の市場価値」は成り立たないことが多いため、転職すると大きく給料が下がります。
40代の管理職経験者による転職にはこのような落とし穴があります。
過去の肩書きにこだわる人は企業から敬遠される
会社を退職した人には名刺がないので、自分で名刺を作成して転職活動で使用する人がいます。そこには「元〇〇会社営業部長」などの肩書きが書かれています。本人的にはこれが大きなブランドで、自分の価値を表現できると考えて作成したのですが、受け取った側は「何の価値も感じていない」というのが現実です。
企業からすると、過去のことを言われても心は全く動きません。「そうですか、〇〇会社で営業部長をされていたんですね。凄いですね!」という言葉があったとしても、単なる社交辞令に過ぎません。むしろ、「ちょっとイタイ人だな・・・」というのが本音です。
採用する側にとって重要なことは、現役バリバリで活躍してくれるかどうかです。過去の肩書きに固執し、それを全面に押し出してくるような人には成功期待感が抱けません。だから、「この人は今までと同じような肩書きをもらい、悠々自適に仕事をしたいだけでは?」と疑われ、敬遠されるんです。
転職を成功させるためには、「今後どうありたいか」「採用企業にどう貢献できるのか」を伝えなくてはなりません。これは、管理職経験者の転職であっても同じです。この事実を肝に銘じて転職活動に臨んで欲しいと思います。また同時に、転職後は現場に出てバリバリ働いて貢献する覚悟が必要です。
この覚悟がないのであれば、今の管理職の地位を捨てるのは勿体ないことかもしれません。